ペルソナ3
2055話
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「アクセル!」
嬉しそうに美鶴が俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
いやまぁ、うん。待ち合わせの場所をアパート近くにある公園にしておいてよかった。
今日の午前中にゆかりと一緒にすごしたような、カップルがイチャつくような公園……ではなく、人の全くいない公園。
冬という今以外の季節であれば、子供とかが遊んでいてもおかしくないような公園なのだが、今の季節ともなれば……人が集まるような事もない。
もしくは、雪でも降れば雪合戦なり雪だるまなりを目的に子供が集まってくる可能性もあるが、生憎とここは東京だ。
それこそ数cmの雪が降っただけで交通機関が麻痺するような場所だけに、そう簡単に雪が降る事はない。
折角恋人と一緒のクリスマスなんだから、ホワイトクリスマスになってもいいと思うんだけどな。
そんな風に考え……多少なりとも現実逃避をしたのは、俺の名前を呼ぶ美鶴の乗っている車が、以前にも何度か乗った黒塗りの高級車だったからだろう。
その車が以前と同じ車なのか、それとも微妙に車種が違うのか。
車にはそこまで詳しくないので分からないが、ともあれ美鶴が降りてきた車が高級車だというのは間違いのない事実だ。
アパート……それも俺が住んでいるような古いアパートの前にこんな高級車がやってくれば間違いなく目立つし、巌戸台駅とかで待ち合わせしても絶対に目立つ。
特に巌戸台には月光館学園の生徒が多く暮らしている為、美鶴と俺がクリスマスデートをしているというのを知られれば、絶対に騒動になるのは間違いないだろう。
最悪、美鶴のファンクラブの襲撃を受ける可能性すらある。
まぁ、そうなったらそうなったで、返り討ちにするだけだが。
そんな風に思いながら、美鶴の方に近づいていく。
今日の美鶴は、いつもの動きやすい格好と違ってかなり女らしい格好をしている。
デートをするのだから当然だろうが、俺としては眼福といった感じだ。
「美鶴、迎えに来て貰って悪いな。……うん、その服はよく似合っている。いつも美人だが、今日は一段と美人だぞ」
「そ、そうか? ……その菊乃に選んで貰ったのだが……」
少し恥ずかしげな様子を見せる美鶴だったが、桐条グループの令嬢として、今まで色々なパーティに出た経験があった筈だ。
まぁ、取りあえず俺の前だからこそ恥ずかしがっていると、そう思っておこう。
「それで、今日はどこに連れていって貰えるんだ?」
そう尋ねると、少し照れた様子だった美鶴は、小さく笑みを浮かべる。
「ふふっ、任せておけ。年上の私がしっかりとリードしてやる」
昨日のゆかりとのデートでは、一応俺が行くべき場所を決めた。
だが、今日のデートは美鶴がリードする事になったのだ。
美鶴にしてみれば、年上の自分がリ
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