23部分:エリザベートの記憶その一
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た頷いたのであった。
「やがて時が来ます。私の見たところあのニーベルングという男は実際には持っている兵の数は然程多くはありません」
「そうなのか」
「はい。どうやら一部の集団か組織を中心としている様なのです」
これは当たっていた。タンホイザーの視点の鋭さの証明の一つでもあった。
「それが何なのかまではまだわかってはいませんが」
「多いと思っていたが」
「そう見えるように工夫をしているのでしょう。むしろ警戒するべきはその兵器です」
「ファフナーだな。バイロイトを破壊したという」
「あれをどうにかできれば違うと思うのですが」
「公爵でも無理なのか」
「今は。申し訳ありません」
「よい。公爵でもできることとできぬことがあるからな」
「はい」
彼は王の言葉に慰められた。まだ幼いと言ってもよい歳ながらそうした細かい労わりもできる王であった。彼にはそれが嬉しかった。
「できることだけでよい。できぬことは他の者に任せよ」
「有り難い御言葉。ですが」
「余がもう少し歳をとっていればな」
王は申し訳なさそうに言った。
「公爵にも苦労をかけずに済んだのに」
「いえ、帝国の滅亡は致し方のないこと」
タンホイザーはそんな王に対して言葉を返した。
「ニーベルングのことは誰も予想ができませんでした故」
「そのニーベルングのことだが」
「はい」
話はクリングゾル=フォン=ニーベルングに移っていった。
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