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レーヴァティン
第五十五話 歌での戦いその六
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「それで凄く強かったらしいんだ」
「そうだったの」
「ただ悪いだけの奴じゃなかったんだよ」
「乗馬と弓矢にも秀でていたのね」
「正みたいにね」
「それは俺も出来るからな」
 董卓と同じことをとだ、正が言ってきた。
「普通にな」
「うん、正も今じゃそうだね」
「乗馬にも慣れたし元々両利きだしな」
「それでだよね」
「出来るぜ、それでな」
「敵も倒せるね」
「ああ」
 正は淳二に正直な目で答えた。
「今はな」
「それ位出来ないとな」
「モンスター達とは戦えないからね」
「連中は何処からでも来る」
 それこそあらゆる方向からというのだ。
「その中で生きよう、戦おうと思ったらな」
「董卓みたいなことも出来ないとね」
「鞍と鐙は使っているけれどな」
 そこは董卓と違うがというのだ、ただ彼の時代もこうした馬具はあったのではないかとも言われている。
「それでもな」
「手綱から手を放してね」
「それ位は出来る」
「凄いわね、私にはとても」
 乗馬初心者の自分にはとだ、清音は二人の会話に心から驚いていた。
「無理よ」
「俺っちも馬はあまりな」
 バイキングの芳直も言ってきた。
「慣れないな」
「バイキングは船だから」
「ああ、船を動かすのは得意だけれどな」
 それでもというのだ。
「馬はな」
「専門じゃないからよね」
「あまり得意じゃないんだよ」
「そうなのね、ただ」
「あんたよりもっていうんだな」
「ずっと上手じゃない」 
 見れば普通に乗っている、少なくとも清音から見ればそうだ。
「落ちそうな気配ないわよ」
「いや、片手でも手綱持ってないとな」
 芳直は清音に難しい顔で答えた。
「無理だよ」
「戦いも」
「ちょっとな」
「そうなの」
「その時は盾も使えないさ」
「盾を持つべき手で手綱を持つのね」
「そうしないと動けないんだよ」
 つまり馬上において戦えないというのだ。
「右手はハンマーを持ってな」
「それで左手はなのね」
「手綱だよ」
 盾ではなくというのだ。
「船の上じゃどっちも使えるんだけれどな」
「船が揺れても平気なのね」
「ああ、平気だよ。それどころか水の中でもな」
 船の上どころかというのだ。
「ハンマーと盾で戦えるぜ」
「両手使わなくて泳げるのね」
「俺っちはな、服やブーツのままでもな」
 それでもというのだ。
「出来るぜ」
「凄いわね」
「バイキングだからな」
 水で戦う者だからというのだ。
「それは出来るんだよ」
「それでも馬はなの」
「ああ、不慣れでな」
 その為にというのだ。
「それは無理だよ」
「そうなのね、けれど私より乗馬いいわよ」
「まあ北にいた時は乗ることもあったしな」
 そうした機会もあった
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