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とある3年4組の卑怯者
146 予行演習(リハーサル)
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ないな・・・。でも僕も絶対に負けていられないぞ!ここで一番、最悪の場合でも入賞だ。そうでもないと世界大会へ行けないからね!!)
 瓜原の練習が終了し、自分の番が訪れた。
「よし、僕の番だ!!」
 藤木はリンクに向かった。これまでの練習により、藤木は演技の構成は組み立てていたので、あとはそれを失敗もなくこなせる事が気がかりであった。
(よし、始めるぞ!!)
 藤木が滑り出す。まずスリーターンをしていく。そしてダブルトウループ、トリプルサルコウを行った。これは飛騨高山へ旅行に行った時、リリィに初めてスケート姿の自分を見せ、その場にいた花輪やマーク、そして花輪の従姉妹のルリ子を魅了させ、初めて片山と会った時の自分の喜びを表した。そしてステップシークエンスを決め、さらにシングルのアクセル、ルッツを行った。これは不幸の手紙で皆から嫌われた悲劇のつもりだった。そしてフライングコンビネーションスピンを行った。これは不幸の手紙事件で自分が干された後、みどりに堀と出会い、彼女達から救いの手を差し伸べられ、さらに片山と再び出会い、スケートの大会に出る動機となった時を表現していた。そして次に披露するのはトリプルフリップ、トリプルルッツ、そしてトリプルループと三回転のオンパレードだ。この勢いは学校でいじめを受けた堀や校内テロで重傷を負った笹山が自分を応援してくれるその期待に応えたいという気持ちを表現していた。そして、アップライトスピンで皆が応援してくれる気持ちに感謝を表す事を示した。そして締めであり、最大の必殺技であるトリプルアクセルからのスパイラル体制での着地を示した。自分が発明したこの技が最大の武器として地区大会、そして中部大会で競り合った和島俊に勝り、金賞を獲得した事を表現する為に。その藤木の演技は全ての皆を魅了させた。その場にいた他の出場者達も、観客から見ている出場者の保護者達も、そして片山も。
(藤木茂・・・。初めて会った時も随分と成長しているな・・・。私が思っている以上に・・・)
 藤木はリンクを出た。その時、瓜原が現れた。
「藤木君、お疲れさん。わいは驚いたで。君のその演技に。わいらは本当に一緒に戦うライバルになるかもな」
「うん、お互い世界大会に行けるよう頑張ろうか」
「そうやな・・・。だが、わいが君よりいい評価を受けて見せるで!」
「僕だって!!」
 そして男子の部で最後の出場者の練習を見ることにした。
「東北大会の金賞者、豆尾亮吾(まめおりょうご)か・・・。どんな演技何だろう?」
「さあ、よう見ると、山形県の五年生とか・・・」
 藤木と瓜原はその豆尾亮吾という男子の演技を見る事にした。豆尾が滑り出す。その彼の神経に藤木も瓜原も息をのんだ。
 豆尾はダブルフリップやトリプルトウループを鮮やかに決め、さらにはステップも軽快にこなし、さ
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