222部分:ラグナロクの光輝その七十六
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ラグナロクの光輝その七十六
「卿等ではそれは」
「確かに私達はそれを阻もうとしました」
パルジファルはそれに返す。
「ですがそれを否定したのは彼女です」
「ヴェーヌスが」
「ヴェーヌスはもうそこにはいない」
タンホイザーが言った。
「そこにいるのは手前の操り人形じゃねえってことだ」
「確かに卿が創り出したかもしれない。だが」
ジークムントとトリスタンも述べる。
「そこにいるのは」
「全く別の存在なのだ」
「卿の妻となる存在ではない」
ローエングリンとヴァルターも述べる。
「そこにいるのは全く別の存在なのだ。卿とは、ニーベルングとも関係のない」
最後にジークフリートが言った。
「それこそが私。エリザベート」
「私が創りあげたのはヴェーヌスだった筈。それがどうして」
「これが運命なのですよ。クリングゾル=フォン=ニーベルング」
「これが運命だと!?」
「そうです。ニーベルングのくびきがなくなる時なのです。そしてアースもまた」
「この銀河をかけて争ってきた我等が」
「貴方も私も。戦いを終える時なのです」
そう語る。
「何を言う。卿等アースはこのノルンをかけて我等と戦い続ける運命だった筈。それが」
「それもまた終わりなのです。ラグナロクですから」
「ラグナロク・・・・・・」
「貴方はこれからも私達と戦い続けるつもりだったのですね」
「それが歴史だったからだ」
クリングゾルは虚ろな声で述べた。
「かつて何度もラグナロクがあった」
「はい」
「ラグナロクもまた」
「幾度もあったというのか」
「全ては輪廻です」
パルジファルは驚く六人に対して述べた。
「輪廻の中で。ラグナロクもまた無数にありました」
「そうだったのか」
「そしてその中で我々は」
「はい、戦い続けてきたのです。ですが」
「それが終わる筈がない」
クリングゾルは躍起になってそれを否定しようとする。
「私は、私はまだ」
「もういいのですよ」
パルジファルは必死にそれを否定しようとするクリングゾルに教え諭すようにして言葉を送った。
「これからは。アースもニーベルングもないのです」
「我々が存在しない世界」
「そうです。そうした古い抗争のない。全く新しい輪廻がはじまるのですよ」
「それが今からはじまるのだな」
「そうです、今から」
「・・・・・・そこにはもうニーベルングはいないというのか」
クリングゾルの声は虚ろさを増していく。
「アースもまた。神々も巨人も小人も」
「人間による新たな世界です」
「私もまた。ニーベルングではないのだから」
エリザベートもここで言った。
「ニーベルングの束縛から解き放たれたのよ」
「そういうことだったのか」
「これでおわかりになられまし
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