ペルソナ3
2052話
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俺の言葉に、望月は涙を流す。
それでいて笑っているような……まさに泣き笑いと呼ぶべき表情を浮かべながら、口を開く。
「参ったな。僕は、本来なら君達に選択をさせようと思ってたのに。まさか……こんなイレギュラーがいるなんてね」
「……選択?」
何故ここでそのような単語が出てくるのか分からず、望月に尋ねる。
他の者達……武治も含めて、そんな疑問の表情を向けられた望月は、涙を拭ってから、再び口を開く。
「ああ、そうさ。僕が記憶を取り戻してしまった以上、もうニュクスの訪れを防ぐ事は出来ない。でも、その日……最後の日までを、苦しまずにすごす事は出来るんだ。僕を……殺せば、ね」
「殺す?」
「ああ。宣告者の僕が消えれば、影時間に関わる全ての記憶は消滅する。つまり、君達の記憶からも影時間については消えて、滅びが訪れる最後の日まで幸せな高校生活を楽しめるんだ。滅びの日がやってくるまで、1日、また1日といった風に怯える必要がなくなる。滅びの訪れは一瞬だ。それこそ何も知らなければ、幸せなままで最後の瞬間を迎えられる。……まぁ、アルマー君の場合は色々と規格外の存在だから、具体的にどうなるのかといった事は分からないけど」
「嫌よ! 記憶を忘れるなんて、絶対に嫌!」
望月の言葉に即座に反対の言葉を口にしたのは、ゆかり。
最初に反対したのはゆかりだったが、当然他の連中も同様だ。
特に荒垣や天田は激しく反対している。
いやまぁ、その理由は俺も納得出来る。
天田の母親の件もあるのだから、この件で記憶をなくするという事は出来ないだろう。 他の面々にしたって同様だ。
ここにいるのは、大なり小なりシャドウや影時間との関係があった者達だ。
その記憶が消されるとなれば、当然のようにそれに賛成するような真似は出来ないだろう。
「安心してよ。言っただろう? 本来なら……って。まさか、僕もこの世界にアルマー君のような存在がいるとは思わなかったからね。……もっとも……」
そこで一旦言葉を切った望月は、改めて俺の方に視線を向けてくる。
「今の時点では、あくまでもアルマー君が大丈夫だと言ってるだけだ。僕には、それが本当なのかどうか分からない」
「なら、どうする? 戦ってそれを示せ、とでも言うつもりか?」
「残念だけど、それは出来ないよ。今の状況で僕が本気になって戦ったら、間違いなくニュクスに何らかの影響がある。出来れば、準備とかはきちんと整えて、日付的にも問題のない日に……僕と戦って貰う」
「……は? 結局戦うのか? 別に俺は望月と戦うつもりはないんだが?」
「いいや。もしニュクスが現れた時、僕がそのままであれば……どうなるか分からない。恐らく大丈夫かもしれないけど、大丈夫じゃないかもしれない。そうである以上、しっか
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