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ランス 〜another story〜 IF
第14話 英雄といっしょ
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――あの時の記憶が蘇ると同時に、柄にもなくアームズも心が痛いと感じていた。


 あの場にいた全員の生気が目から抜け落ちた様な感覚に見舞われていたからだ。
 特に、全てを掛けていたと 言っても良いぐらいの覚悟で臨んでいた女達は等しく同じだった。
 その計り知れない絶望。その場にいたアームズは、彼女達程の想いを心に宿していた訳ではないが、肌でそれを感じ取っていた。心が痛いと感じていた。


 ゾロと直接的に会うのは言葉を交わすのは、あの時以来だった。
 

「ああ。間違いなく。……その通りだ。久しいなアームズ・アーク。直接会うのは実に6年ぶり……と言った所か。月日がたつのは早いものだ」

 まだ混乱しているアームズだったが ゾロの言葉を訊いてどうにか精神を立て直した。生死の境にいた状態であった為、如何に百戦錬磨、人類最強クラスの使い手であるアームズであっても なかなか立て直すのは難しかった様だが、それでも混乱していたのは数秒程度だ。戦闘中であれば致命的な時間かもしれないが、今は問題ない。

「その通り、だな。まさかお前が此処にいるとは……。いや、魔王が覚醒しかけているとすれば、その影にゾロの姿あり……だったか」
「それもあるな。……また、魔の気配が濃くなってきている。……言うまでもないだろうな。お前はもうあの男と会ったのだろう? ……いや、お前()は」

 ゾロはちらりと視線をアームズから外し、後ろでやや放心気味な3人を見る。
 何が起きたのか判らない、と言った様子だ。それも当然だ。つい先ほどまで魔人DDが現れ、アームズが殺されてもおかしくない状況だった。それも自分達の為に囮となって。絶望が頭の中に過り、何とか救おうと駆け出していた。

 でも、状況が一変した。

 突如現れた男が、あろう事か魔人DDを山から叩き落したのだ。それも魔人サテラの使徒であるガーディアン2体掛かりで強引に突き落としたのではなく、無造作に。石でも放り投げるかの様に。
 なかなか会話が頭の中に入ってこなかったが、それでもアームズが安心している姿を見たから、徐々に同じくエール達も安心感が伝わった様だった。

「え、えっと――ゾロってあのゾロですか? アームズさん」

 最初に、口にしたのは長田君だった。
 辛うじて頭の中へと入ってきたのは 聞き覚えのある名。この世界で知らない者などハニーである長田君でも知っている超大物の名。

「ああ。この男が人類最後の砦、希望、英雄、空前絶後……、呼び名の数においても、実力の高さにおいても、史上最強と名高い男、マスク・ド・ゾロだ」
「……ふむ。正面切ってそう言われると、流石にむず痒い」

 ぷいっ、と顔を背けるゾロを見て、長田君は割れる勢いで跳ね上がった。

「え、ええ
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