第二章
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「もういいんだ、どうしても思い出せないし」
「過去を知る人もですね」
「私の周りにはいないからな」
それでというのだ。
「もうな」
「それで、ですか」
「いいんだよ」
こう言ってだ、俊一は自分の過去のことは言わなかった。それでそのことを話してそうしてだった。
俊一はバスに乗りながら事件を解決してプリンを食べてよく怒った、そうしてかなり変わった短艇ぶりを発揮していた。
しかし小林さんは知っていた、それである日教会の懺悔室誰にも他言されないその部屋で神父に話していた。
「実は私の先生ですが」
「その方のことですか」
「実は秘密がありまして」
「それはどういったものでしょうか」
「先生は実際に私の先生でした」
こう話すのだった。
「政治家だったのです」
「そうだったのですか」
「探偵事務所を経営しておられるのと共に私の家庭教師でした、ですが私を交通事故から庇ってくれて」
その時のことを話すのだった。
「瀕死の重傷を負い一命を取り留めたのですが」
「それでもですか」
「はい、怪我は全快しましたが記憶を失っていたのです」
小林さんは泣きそうな顔で話していった。
「お名前以外は。そして」
「そしてですか」
「ご自身のことがわからないまま退院されて」
懺悔室で声も泣きそうになっている。
「私が探偵事務所に入りますと」
「その時にですか」
「はい」
まさにというのだ。
「先生もご一緒でして」
「その時にですか」
「そうです、私が先生を探偵だとお話したら」
「そこからですか」
「探偵業は出来ていて今もですが」
探偵、それが出来ているというのだ。
「ですがそれでもです」
「記憶はですか」
「もう出来ていません」
「そうなのですか」
「はい、本当に」
実際にというのだ。
「あの人は」
「そうしたことがあったのですか」
「私は先生に助けてもらいました」
命、それをというのだ。
「そのことを忘れていないので助手をしています」
「それは何故でしょうか」
「恩返しです」
「命を助けてもらったので」
「そうです」
神父のその問いに答えたのだった。
「その通りです」
「そうですか、だからですか」
「私は助手をしています」
「それでは」
「これからもそうしていきます。先生の記憶が戻るまで」
「戻ってからはどうされますか」
「お礼を言います」
俊一、彼にというのだ。
「そうしてです」
「そのうえで、ですか」
「私は先生の記憶の謝罪をして」
そしてというのだ。
「先生の前を去ります」
「そうお考えですね」
「はい」
懺悔室で一人語った、そしてだった。
小林さんは懺悔室を後にした、そうして探偵事務所に戻って俊一のサポートを続け
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