第二章
[8]前話
だが答えは出ない日々が続いた、その考える中で。
そうした日々が続き夢の中でだった、彼は夢で神秘的な美貌を持つ美女と対した。そこで彼女は自ら名乗った。
「私がイスカです」
「はい、そのお姿でわかりました」
ミストは夢の中で自分の前に出て来た女神に答えた。
「像や絵のお姿そのままだったので」
「それで、ですか」
「わかりました」
そうだと言うのだった。
「私も」
「そうでしたか。それでお話しますが」
「何故私の夢に出て来たのか」
「神官長の言う通りなのです」
イステは少女の様に澄んだ清らかな声でミストに話した。
「私が人間達から強い信仰を集める時は」
「その時はですね」
「あらゆる時空の世界が危機に瀕している時です」
まさにその時だというのだ。
「ですから」
「信仰を集めることはですね」
「私は望んでいません」
「世界が危機に瀕することは」
「そうしたことは将来起こるかも知れません」
イステもそうなるかも知れないことは想定していた、未来も見つつその未来をも守護するその中で。
「ですが」
「それでもですか」
「はい、私はです」
「危機が訪れることは望んでいませんか」
「そうです。ですから」
「信仰もですか」
「いりません。私自身が信仰されるよりも」
それよりもというのだ。
「世界が穏やかであることを望みます」
「貴女自身のことよりも」
「そうです。ですから今のままで」
まさにというのだ。
「構いません」
「そうですか。では」
「このことを貴方も理解して下さい」
是非にとだ、イステはミストに微笑んで述べた。
「このことは」
「わかりました。それでは」
ミストは夢の中でイステに答えた、するとイステは微笑んでそのうえでミストの前から姿を消した。そうしてだった。
彼は目覚めると神官長のところに行き彼に夢のことを話した、その話が終わってからこう言った。
「神官長の言われる通りでした、以後は以前考えていた様なことは求めません」
「そうしてだな」
「イステに仕えていきます」
「それでいい。信仰が広まり深まりよりはな」
「世界が穏やかである方がいいですね」
「そうだ、そのことが最もいい」
神官長はミストに穏やかな声で言った、そうして彼や他の神官達と共にこの日のイステへの朝の祈りを行った。それから一日の信仰をはじめたのだった。
イステ 完
2018・5・20
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