第二章
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次の日の朝その相手の家に行き中に忍び込んだうえでまだ寝ている相手を蜂の巣にした、それからカードや現金を奪ってその場を去った。相手は一人暮らしだったので仕事は実に楽で見付からない様にする配慮もしなくてよかった。
それが終わってからだ、クルーエルはその店に向かった。店のおおよその場所は覚えていたので後は名刺で住所や名前を再確認しつつだった。
店に来た、するとマスターはこの日も店のカウンターの中にいた。そこから店に入ってきたクルーエルに言ってきた。
「いらっしゃい」
「来た」
「ああ、早いな」
「早いか」
「今日来たからな」
昨日わしてそれでというのだ。
「仕事はそれだけ早く終わったか」
「そうなるな」
「それは何よりだ。それじゃあまずはな」
「酒だな」
「今日は何を飲むんだい?」
「昨日と同じだ」
クルーエルはマスターにぶっきらぼうに答えた。
「それはな」
「ウイスキーかい」
「ロックでな」
「そうか、じゃあ今からな」
「出してくれるか」
「ああ、じゃあ座ってくれ」
マスターは彼に昨日と同じくカウンターの席に座る様に言った、彼はそれに従いそこに座ってそうしてだった。
ウイスキーを飲みはじめた、そこでマスターは彼に聞いてきた。
「それでな」
「ああ、話の続きだな」
「やることは終わったんだな」
「そうだ、全部な」
「そうか、それは何よりだ」
親父はまずはこのことをよしとした。
「ことを果たしたんならな」
「そのことはか」
「よかったな、けれどだよな」
「これから何をするか」
「それはだよな」
「一切考えていなかったしだ」
それにと言うのだった。
「今もだ」
「考えていないんだな」
「そうだ」
「じゃああれかい。金はあるけれどな」
それでもとだ、マスターはクルーエルに言った。
「仕事も家もないか」
「何もな」
「まあ過去はこれから増えていくがな」
生きていればとだ、マスターはそれはよしとした。
だがそれでもとだ、クルーエルにさらに言うのだった。
「しかし家も仕事もか」
「何もない」
「そうだよな」
マスターはクルーエルのその言葉に頷いて応えた。
「あんたは」
「言った通りだ」
「何もないんだな」
「そうだが」
「だったらな」
それならとだ、マスターはクルーエルにあらためて言ってきた。
「ここにいるかい?」
「ここにか」
「ああ、実はあんた昨日も今日もこの時間帯に来たけれどな」
まだ四時だ、バーの開店時間にしては早い。
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