切り札
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」
「妖精の法律!?」
「そっか!!その手があった!!」
「勝ったぞこの戦!!」
妖精三大魔法とされる内の一つ、妖精の法律。術者が敵と認識した相手を全て倒すことができる言わば究極の魔法と言えよう。だが・・・
「なりません!!」
「初代!!」
そこに駆けつけたメイビスがマカロフを止めようと叫ぶ。それにはある大きな理由があった。
「妖精の法律は対する敵が多いほど自らの命を削るのです!!こんな大軍に使ったらあなたの体がもちません!!」
「そんな・・・」
強力であるがゆえの欠陥。それは何事にも決して切り離すことができないもの。
「初代、そんなことは承知の上じゃ。止めんでくだされ。ワシの花道」
そんなことはマカロフももちろん知っている。それでも彼には絶対に引くことができない理由があった。
「策はあります!!必ずこの状況を脱する策が」
「黙っとれぇ!!」
怒声を上げるマカロフ。その迫力にメイビスは思わず口を閉ざした。
「目の前でガキ共が苦しんでるんじゃ。ガキ共がキズついているんじゃ。あんたにとっては“兵”の一人かもしれねぇが・・・ワシにとってはかけがえのないガキ共なんじゃ」
「私は・・・そんな・・・」
メイビスももちろんそんなつもりは毛頭ない。しかし、マカロフは今持てる昂る感情を抑えることができなかった。
「わかってますとも、初代の策があれば勝てることくらい。じゃがワシはこの瞬間、血を流しているガキ共をこれ以上見ていられんのじゃ!!
老い先短い老兵の命でガキ共の未来が作れるとあらば、安い仕事じゃ」
「マスター!!」
腹は決まった。しかし、それを受け入れなければならないのは彼だけではない。
「エルザ、よく聞け」
「いいえ聞きません!!一緒にギルドに帰りましょう!!」
マカロフの覚悟を聞いた妖精たちはそれを受け入れるのに時間がかかった。だが、もう彼は止まらない。
「この先どんなに辛いことがあっても、仲間と共に歩いていけば道はある。仲間を信じよ。自分を信じよ。
ギルドは家族。忘れてはならん。
貴様らのおかげで我が旅は実に愉快であった」
「マスター!!」
「思い残すことはなし。みんな、仲良くな」
悲しみに暮れる妖精たち。涙を溢す彼らに見送られながら、マカロフは最後の魔法を解き放った。
神々しい光に多くの敵が飲み込まれ、倒れていく。その光は遠く離れていた全ての者が目視できるほどの凄まじいものだった。
そして、それと引き換えに、マカロフはその人生に幕を下ろした。
「妖精の法律・・・もうそんな時間なの
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