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」
なんて思っていると、倒れていたギルダーツさんが突如立ち上がりそんなことを言い出した。
「離れろって・・・それじゃあこいつはどうするんですか!?」
思わず口調が強くなってしまった。こいつが俺にターゲットを絞っているのなら、むしろ俺がこいつを引き受けた方が遥かに理に叶っているはず。
「こいつはお前に逃げられたら困るんだ・・・だから早々に万全の状態のお前を狙ってきた」
「「「!!」」」
言われてみるとそうかもしれない。この場面、後ろには瀕死のギルダーツさんがいた。カナさんもオーガストとの戦いのせいで大ケガをしている。二人を先に凍らせておけば邪魔をされずに俺を倒せるはずなのに、あえて先に狙ってきた。それは二人を抑えている隙に俺が逃げる可能性を危惧してのことか。
「俺が仲間を見捨てるはずないでしょ」
仮に二人を狙ってきたら俺はそれを絶対に阻止してみせる。そうじゃなければ、俺たちのために犠牲になったレオンに顔向けできない。
「それよりもお前はここを離れろ。もしかしたら・・・」
「もしかしたら?」
フラフラしているギルダーツさん。彼は満身創痍の体に鞭を打ち立ち上がった。
「こいつらを倒すきっかけになるかもしれねぇ」
「!!」
今戦いは劣勢になっている。オーガストを倒せる人間には限りがあるし、このティオスもまた同様だろう。それを打開できる方法があるから、こいつは俺を潰しに来た。
「おいおい、そんな状態でそいつを逃がしたらどうなるか、わかってるのかい?」
それでも俺がここを離れていい理由が見当たらない。こいつははっきりいってヤバイ。それは肌で感じられる。そんな奴に今のギルダーツさんで勝てるとは思えない。
「そうやってシリルを留めさせようとする辺り、やっぱり何か裏があるようだな」
「・・・」
しかし、それでもギルダーツさんは自分の考えが間違いではないことを確信している。隠しきれないと察したのか、ティオスは舌を出し苦々しい顔をする。
「・・・まぁいい。俺の考えを見抜かれていようと・・・」
そう言った瞬間、ティオスが視界から消えた。いや、消えたんじゃない。こいつは俺ですら捉えられない速度でギルダーツさんの目の前へと現れていた。
「お前を瞬殺すればいいだけだ」
今度は水を纏った拳を繰り出してくる。それは見えているのに、もう反応が追い付かない。
「ギルダーツさん!!」
「ギルダーツくん!!」
「お父さん!!」
もうどうすることもできないのか・・・そう思ったその時だった。
「雷竜の咆哮!!」
「!!」
ギルダーツさんの土手っ腹に拳が入る直前、雷撃が彼を襲った。
「・・・ここでもズレが起きてるのか・・・」
攻
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