第五十四話 吟遊詩人その十
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「ミラノも観て回るか」
「そうしようね」
「街も時間があったらな」
「商業都市に限らずね」
「見回った方がいいか」
「それも勉強だよ」
淳二は久志に笑ってこうも話した。
「政治のね」
「街を知ることもだな」
「そうすればその街をどう治めればいいかわかるから」
「本や地図で読むだけじゃなくてか」
「実際にその中を歩き回ってね」
そうしてその中を見て回ってというのだ。
「勉強するのもね」
「政治ってことだな」
「そうだよ、じゃあね」
「ああ、今からな」
「ミラノに行こうね」
本来の目的地だったその街にというのだ。
「是非ね」
「ミラノに着いたら」
清音は期待している顔になってこうしたことを言った。
「まずは歌劇場ね」
「ミラノにいい歌劇場があるんだな」
「そうよ、この島でも一二を争うね」
そこまでの歌劇場がというのだ。
「あるのよ」
「それは初耳だな」
「あら、有名よ」
「あっ、そうなんだな」
「そうよ、ウィーンやパリの歌劇場と並ぶ位のね」
「立派な歌劇場か」
「それがあるのよ」
ミラノ、自分達が今から向かうその街にはというのだ。
「だから楽しみよ」
「そうだったんだな、しかしな」
「しかし?」
「いや、歌劇場ならな」
久志は清音にこれまでの旅で見てきたものから話した。
「大きな街には結構あったぜ」
「それはそうだけれどね」
「それでもか」
「そう、ミラノの歌劇場は別格なのよ」
「それだけいいのか」
「外観も立派で内装も。そして歌える環境もね」
歌劇場の中のそれもというのだ。
「全てが最高と言われているのよ」
「別格ってことか」
「そうよ」
まさにとだ、清音は久志に話した。
「だからね。吟遊詩人つまり歌に携わる者として」
「ミラノの歌劇場には行きたいんだな」
「是非ね」
「あと料理もです」
進太の話題はこちらだった。
「ミラノもまた」
「いいんだな」
「はい、生ハムやアボガドやトマトを作ったサラダに肉料理に」
「パスタもか」
「そうでござる、そしてピザも」
こちらの料理もというのだ。
「評判でござる」
「そうか、じゃあな」
「ミラノに着いたならば」
「料理も楽しもうな」
「そうするといいでござる、この辺りは拙者達が起きている世界で言うならイタリアでござる」
「イタリアっていうとな」
「料理も有名でござる」
その文化の中にはっきりと存在しているのだ。
「だからでござる」
「ここの料理もよかったけれどな」
「ミラノも有名でござる」
「だからだな」
「あちらでも楽しむべきでござるよ」
「そうだよな、歌もいいけれどな」
そちらと共にとだ、久志は進太に応えて述べた。
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