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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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作戦軍と、ジスタート軍を主戦力とするアルサス・ライトメリッツ連合軍の両軍が激突した、アルサスを数ベルスタ(キロメートル)南下した地にある合戦場。そこからさらに南下すればテナルディエの領地『ネメタクム』が存在する。
『銀の流星軍』は行軍速度と兵量の詳細を、斥候にだしていたアラムからその報告がもたらされた。
そしてアラムは上官のリムに通達。彼ら銀の流星軍は現在アルサスに至る。

「――――――ところで、ガイさんの姿が見えませんが?」

もっともな疑問だった。
真っ先にアルサスへ切り込んだ勇者の姿が見えない。そんな不自然な光景に気付くのも当然だった。

「実は……」

フィーネは事の顛末をリムに伝えた。
反応は予想内のものとなってかえってきた。

「…………なんてことを!」

――だろうな。私だってそうだ。
アルサスの民に振り向くリム。歯を食いしばり、きっと睨みつける。

「待てリム。その気持ちは私にもわかる。だが、民を責め立てるのはガイの本意ではないぞ」
「それは分かっています!ですが!」

苛立つ表情の色を隠そうとしないリムに対し、フィーネは心察をにじませた忠告をする。
全然分かっていない。心の中でそう評価を下すも、フィーネとてその気持ちは痛いほどわかる。先ほどの自分がまさにそうだったからだ。
超戦力である凱を失う可能性があるとすれば、戦闘しか想定できない。それがリムの認識だった。

だが、事態は想定を覆してしまった。

まさかアルサスの民が原因だとは、誰が想像できようか。
半ば追い出される形で凱を失い、これからどうやって銀の逆星軍に立ち向かえばいい?
そもそも、凱はどこへいってしまったのか?
千尋の谷に突き落とされたような心境が、リムの背筋を容赦なく襲う。
例え、凱の所在が判明したとして連れ戻したとしても、失意に沈んだままでは戦うこともかなうまい。

「ですが――ガイさんは立ちなおってくれるのでしょうか?」
「そればかりは流石にわからん。私だってガイのあんな一面を見るのは始めてだからな」

今更になって、銀の流星軍の皆は勇者の弱さを知る。

事後処理を終えたシーグフリードが割って入る。

「あいつは誰かを守ろうとすることで、自分を保ってきた。今に至るまで」
「シーグフリード?」

人を助けることで、人から求められるぬくもりにしがみ付いたまま。
相変わらずだ。あの男は。

「オレは誰かを憎むことで、自分を保っていられる」
「??誰かを……憎む」

エレオノーラ――――エレン。とある傭兵団長の忘れ形見。
彼の義娘エレンヴィッサリオンを斬った自分を憎んでいるのだろうか?
……当たり前だ。リムと再会を果たした時から、覚悟していたことじゃないか。

銀髪の男の視
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