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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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い。すべてはテナルディエ……『銀の逆星軍』の仕業なのに、アルサスの民は心の傷にずっと苦しみ続ける。涙と悲しみは、もうすぐむこうから昇る『暁』の曙光によって、焼き払われるべきなんだ……………………俺と一緒に」

最後の――俺と共に――という一言。
フィグネリアは言葉を失った。

「ガイ……あんたは……?なぜ……」

沈むような表情で凱に問うフィグネリア。
静かに首を縦に振った凱。苦痛を伴うかのような表情で。
それが余計に……フィグネリアの憤りを吹き飛ばしてしまった。
素っ頓狂な顔で言っていれば凱の横顔を一発ぶん殴ることもできた。
傭兵上がりの彼女なら何のためらいもなく。

「ガイさん……どうして!?」

はしばみ色の瞳に涙をためているティッタが凱の前に詰め寄ってきた。
どうしてあなたはそのようなことが言えるのですか?
アルサスを救ってくれた……あなたが?

「――俺は」

少女の頬に、一滴の涙がこぼたれた。
ティッタの瞳を見るのが……がつらい。
凱は目をそらした。
そらして――――――ゆるゆると後ずさりながら、一気にアルサス郊外へ向けて駆けだした。

「ガイさん!」
「ガイ!どこへいくつもりだ!?」

ティッタ、フィグネリアの声が追ってきたが、振り切るように走る。
凱はアルサスから逃げ出した。
まるで――――自らの使命から逃げ出したかのように。










―――――◇◆◇―――――










1刻(約2時間)ほど経過しただろうか、夜明け前だというのに、アルサス一帯は随分と明るく見える。
そんな景色に目を奪われていると、轟く馬蹄がアルサス郊外に響く。
銀の流星に弓の軌跡。間違いない。『銀の流星軍??シルヴミーティオ』の軍勢だ。
視界の規模ではおよそ1000の集団。
あの時と同じように駆けつけてきてくれたのだろう。ザイアン率いるテナルディエ3000の兵を追い払う為に。
だが――騎馬の先頭を駆け抜ける、武骨な甲冑集団の中で目立つ存在がいた。
フィグネリアは察した。恐らくあれはリムアリーシャだと。
対してリムアリーシャことリムも、フィグネリアの姿を確認すると、馬上の人のままで問いかける。

「無事ですかフィーネ!」
「……リムか。見ての通りだ」

隼の刺繍が縫い込まれている戦装束も含め、リムの見たところ彼女は五体満足の様子だ。
殆ど交戦のなかったものだから、フィーネもほとんど被害をうけていない。
むしろ、被害はアルサスの民の心にあった。

「ここへ着陣する機会をうかがっていたところ、『銀の逆星軍』の旗印がモルザイム平原へ流れていくのを確認しました」

モルザイム平原。
そこはかつてザイアン率いるアルサス焦土
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