第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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王」
黒竜の化身は静かに頷いた。
「何故、『作品』同士で争いが起きると思う?」
凱は何も答えない。いえなかった。彼が、一体何を想い、何を願っているのか、凱には到底掴めないものだったからだ。
「その人にとって『理想』のない『異世界』だからだ。俺はテナルディエの『完結した世界』を信じることが出来なかった。だから力を以てあの丘を平定した」
凱はふと暁の空を見上げた。
「……争いは……兵器がはじめるんじゃない。始めるのは人間なのだと、俺は思います。」
同じく、黒竜の化身も暁の空を仰いだ。
「……そう……かもな。かつて『魔』を打ち払う為の竜具も、今では人の争いの中心だ」
現国王がそうしているように――
「ひとは何よりも臆病で――傲慢だ。だから、臆病には勇気が、傲慢には謙遜が必要――」
「勇気を知りたければ勇者に、力が欲しければ謙遜に?」
黒竜の化身は静かに頷いた。
勇者は絆を。王は力を。
「勇者の隣に王が並び立つとき……『血脈』と『魂』を受け継いだジスタートは『暁の黒竜―スペリオル・ジルニトラ』として生まれ変わるだろう――俺が成し得なかった理想世界の創世を」
この瞬間――獅子王凱は『形よりも大切なもの』を掴んだような気がした。
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後書きと解説。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
長かった。本当にそれしか見当たりません。
本当の意味で登場人物が原作を離れていくわけですが、凱達の戦いを見守っていただければ幸いです。
では解説を。
※1:非難が殺到し、事態の収拾がつかなくなる状況を指すネット用語。
殆どが脊髄反射でコメントすることが多く、インターネットが普及した今の社会となっては一つの問題となっている。
ツイッターやフェイスブックの拡散能力に加え、人間の情報収集力の低下が大きな原因となっている。
似たタイトルだけで、実際は何の関係のない団体が被害を受ける『延焼』や、炎上を加速拡大させる(いわば新事実や事情のこと)『燃料』も存在する。
今回テナルディエが、アルサスに置き土産として残したのは、アルサスや地方都市が問題として抱えている『無関心』を逆手にとって、返還後のアルサスへ発展しやすそうな『憎悪』そのものだった。
原作1巻にて「アルサスを焼き払え」というテナルディエ公爵の文章を、「憎しみの炎で人々の心の世界を焼き払う」という、間接的に表現した。
※2:原作1巻にて、ザイアン率いるテナルディエ軍に交渉しようとして、討ち死にされた最初の犠牲者。
※3:原作1巻にて、アルサスの避難活動が遅れた理由の一つ「辺境の地ということもあって、戦に対する危機感がうすい」から。不整備な道
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