第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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だ。
同じく凱も、無力故に悩み、足掻き、赤き流星のように血を流してきたティグルに、凱は『王』の姿をとらえたはずだ。
互いに必要なのだ。『勇者』と『王』は。
時代は求めてきている。『勇者王』の伝説を。
「ライト……ノベル……」
「はい。ブリューヌに平和が戻ったら……『あたしの知ってるガイさん』を、いっぱい聞かせてあげます。あたしの知ってるガイさんを、ティグル様にも教えてあげます」※16
その時、凱の胸の内に熱がともる。
「……ああ、その時は『俺の知ってるティッタ』を、君に聞かせる。もちろんティグルにも俺の知ってるティッタを聞かせたいんだ」
突如、一陣の銀閃が凱とティッタの二人の頬をすり抜ける。
乱れた髪が後ろの存在を気づかせる。存在の正体とは……
――冷たい夜の風を吹き飛ばす、夜明けの太陽??
地平線をあまねく照らす『暁?アヴロラ』を背にした、栗色の髪の少女の言葉。
儚く、神々しく、優しく、それでいて――暖かい光。
「――――――ありがとう」
もう、その言葉しか見つからない。
救われすぎて――――死ぬ。
知ろうとせず、知ることもできないままに、誰から蔑まれて続けたとしても、たった一言で救われる言葉がある
見失いかけた居場所を、何度でも示してくれる。
それこそ――ライトノベル……冒険の書……そして、心の地図。
ならば、人は何度でも淀みを洗い流すことができる。
たとえ自分の物語が批判されて『盲目』になろうとも、俺を知ってくれているティッタが、子守歌のように何度でも言い聞かせてくれる。「大丈夫。あなたの物語は輝いている。そしてここからが輝く時」なんだと。
「私の翼はもがれたけれど、このためにあったんだと思う」
隣には、フィーネがいた。
凱の背中に翼をくれたことを、まるで誇らしげに語る彼女は、凱にはとても美しく見えた。
そう、あれは『暁の霊鳥―フェニックス』のように。
足だけでは、永久に迷宮を抜けることはできない。
翼があれば、いつか迷宮からはばたけていけるだろう。
勇者のお前には、真っ暗な迷宮で迷うではなく、あの暁の大空へ羽ばたくが一番のお似合いだよ。
「????ガイ」
今度はティッタでなく、フィーネが声をかけた。
「もう一度聞くよ。お前――――これからどうしたい?」
どうしたい?そんなのは決まっている。
いや、決めたんだ。
誰が俺を認めなくても、批判しようとも構わない。
その先に目指すものがあれば、俺の後に続いてきてくれる者がいるならば、走り続けるだけだ。
今は理解されなくとも、最後には分かってくれる。信じてる。
「自由でいいんだもんな……したいことを……すればいいだよな!」
わがままになれ。せめて、
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