第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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さいだままでは、応援してくれる人の声さえも、聞こえなくなってしまう。
心を閉ざしたままでは、癒してくれる人の『想い』さえも、気付けなくなってしまう。
そのままで『眠り』についてしまうのは、いやだ。
「リムアリーシャさんも……マスハス様も……ルーリックさんも………エレオノーラ様も………ティグル様も!」
未来の『王』の名を叫ばれた瞬間――止まっていた『勇者』の時間が動き出す。
「あたしにとってティグル様は英雄であるように、ガイさんあたしにとって」
あたしにとって――
あたしにとって――
「あたしにとって、ガイさんは――勇者だから!」
「ゆう……しゃ?」
涙であふれかえる瞳のまま、押し寄せる感情でティッタを見つめ返す。
「もし、辿り着く場所さえもわからなくなったら、ティッタがこうやって両手を広げてあげます。何度でも居場所を教えてあげます。ガイさん――世界でただ一人、貴方だけの――『心の地図』を!」
勇者が歩いた軌跡を、勇者が謳った景色を、勇者が振るった『心の剣』で、描いていくんです。
今は真っ白でも、あなたの運ぶ風の未来を待ち望んでいる。
今のガイさんは気づいていません。
それどころか、気づこうとしてくれない。
だから、気づいてください。
あなたを彩る押絵を。
あなたを知る文章を。
あなたを導く結末を。
「だから、歩むときは共に歩みましょう。そして、失うときは、共に失っていきましょう。それがあたし達にとっての……ライトノベルだと信じていますから」
ライトノベル――光あふれる理想世界へ誘う『冒険の書』※
理想世界へ至るには、決して楽しいことばかりじゃない。つらいこともたくさんあるはず。
でも――いつかあたしたちの物語を『共感』してくれる人もいるはずです。
凱とティッタ。二人を見守っているフィーネは、魂の輝き始めている光景に目を閉じた。
(必要なんだろうな。『勇者』が示す冒険の成果を記録……いいや、思い出にしてくれる『王』の存在が)
それは、凱とティッタとティグルにしか知りえない……『アルサスの丘で交わした勇気ある誓い』
ティグルは言ってくれた。自分の無力を語るのがとてもつらかったはずなのに、不殺の凱を正面切って肯定してくれた。
憂いを断つために徹底的に痛めつけるのは、新たな未来を閉ざしてしまう。
人は大人に近づくにつれて、戸惑い、そして涙を流すことを忘れていく。
迷いは弱さだと。涙は脆さだと信じるようになって――。
強すぎる信念は、己が物語しか見ないあまり、盲目になってしまう。これが俺の信じる物語だ。
人を超越した力をもつ故に、傷つき、迷い、そして流星のように涙を流せる凱に、ティグルは『勇者』の姿をみたはず
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