第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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ィッタは、まるで「あなたを知っている」かのように語り掛ける。
頬を伝うぬくもりの言葉が、天使の『三本の矢』となって凱の心に突き刺さる。
「……やめろ」
凱の否定がティッタの言葉を拒む。
「そんなものは幻想だ!ティッタは何もわかっちゃいない!」
「わかっていないのはガイさんのほうです!」
「ガイさんの優しさが、ティッタにぬくもりをくれました」
――覚えていますか?
アルサスで初めてお会いした時、他人でしかなかったあたし達を、盗賊たちから助けてくれたことを。
「ガイさんの勇気が、ティッタに光をくれました」
――知っていますか?
ティグル様がいなくて、みんな不安だった時にアルサス焼き払おうと攻めてきて……それでも、あなたは戦った。
たった一人でテナルディエ軍に立ち向かうあなたの戦う姿に、神殿に身を寄せていた人たちは、危険を顧みず貴方を応援していたことを。
「ガイさんの出会いが、ティッタに未来をくれました」
――わかりますか?
フィグネリアさんも……リムアリーシャさんも……あたしも……ティグル様もあなたとの出会いの中で『光』を見たのを。
勇者はすべての希望。みんなの光。
立ち止まれば、貴方は必ず後悔する。
いつか勇気を取り戻したとき、大切な人を、大切な時間を取り戻せなかったことを、あなたは悔やむでしょう。
だから……こんなところで歩みを止めてはいけない。
「俺だってみんなを、ティグル達を助けたい!だけど……俺一人じゃ……ダメなんだ」
ウソをつき切れなかったゆえの台詞。
初めて知る……勇者の弱さ。
人を守る為に神様が力を与えてくれたものが、いつの間にか自分を追い詰めるものになっていたのだろうか。
「ティッタが――――います」
今まで――雲海に包まれていた凱の居場所。その地図に在り処は存在しない。
だけど……
栗色の髪の少女が、悲しみに迷っていた俺の心の『闇』を払ってくれた。
そして……
一条の光すら差さない俺の居場所に……『心の地図』を広げてくれた。
「そして、フィグネリアさんが――――います」
黒髪の女性が、復讐に酔いしれていた俺の目を覚まさせてくれた。
暗い迷宮をさまよい始めた俺の背中に……『心の翼』をくれたんだ。
どんなに闇の深い迷宮をひとっとびしてしまう――力強い翼を。
「ガイさんにお礼を言った女の子も――――います」
オルメア会戦で孤児となった、あどけなさを残す幼子が、恐怖にただ怯えていた俺の魂を慰めてくれた。
怖くて――アルサスという居場所を失った俺の勇気に『心の灯台』を灯したんだ。
「どうして……」
どうして俺は、気付けなかったんだ?
目を閉じたままでは、肯定してくれる人の姿さえ見えなくなる。
耳をふ
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