「言葉はむずかしいです……」
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「へぇ? 悪いけど、あたしは温泉についてはちょっとうるさいわよ?」
「ふふ。ぜひ満足していってくれ」
「あの、キズメル……もしかしてその温泉って、男女一緒じゃないわよね?」
リズの安い挑発もキズメルは簡単に受け流し、どうやら聖大樹の温泉とやらによほど自信があると見える。かの《オーディナル・スケール》の一件から、あまり聖大樹とやらにはいい印象を持てていないのだが、今回で挽回なるか――などとショウキが思っていると、アスナが恐る恐る口を開く。
「ああ……安心してくれ。遥か古代に現れた二人の人族から、人族は男女揃っての湯あみは出来ないのだと伝えられている。申し訳ないが、キリトたちはあちらを頼む」
……どうやらアスナの心配は杞憂に終わったらしく、むしろ不審げな表情を皆から向けられるのみに終わっていた。そうしてキリトとともに女性陣と別れ、ショウキと目を合わせようとしないキリトへ問いかける。
「なあ、その混浴がダメだって伝えた人族って」
「……聞かないでくれ」
……情けから、それ以上の追求はしないようにすると。気まずい空気のまま脱衣室に到着すると、キリトはすぐさま服を着たまま大浴場に突入すると、流石に浴槽に入ることはなかったものの、くまなく大浴場を調べ始めていた。
「……………?」
「あ、いや……前に、男女別だって言われたら、更衣室だけ別だったことがあってさ……いや、ごめんな……」
「……大変だったんだな、色々と」
もはや言語も発することなく彼の奇行に目を白黒させていると、キリトは遠い日を思い返すようにどこかを眺めていた。ただし自分がどんな不審者だったかは理解できたようで、すごすごと脱衣室まで戻ってくる……というか、目の前に明らかに大浴場を男女で分けた壁があるのだけれども。
その証拠に、耳をすませば壁の向こうから彼女たちの声が――
『……リズ、また大きくなった?』
『え? なな、なに言ってるのよ、アスナ。これランダムアバターじゃない』
『ううん。この体型はキャリブレーションよね。私の目は――』
――耳をすますなんて最低だなと、聞かなかったことにしてショウキはピシャリと大浴場への扉を閉めた。そこでひとまず落ち着いて、一息。脱衣室にあったバスタオルを借りて、風呂に入るために服を脱いで――とはいえ、ボタンを一つ押すだけだけども。再び大浴場への扉を開いて、その自慢の温泉とやらに足を踏み入れていく。聖大樹の影響かお湯は強く濁っており、底は見えないほどだったが不思議と汚い印象はなかった。
「……なあ、ショウキ」
「なんだ?」
「プレミアやキズメルのこと、どう思う?」
「どうって?」
ひとまずその自慢の濁り湯で汗でも流すかと、ショウキが桶
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