「言葉はむずかしいです……」
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味ありげな言葉を告げると、アルゴはプレミアの頭を撫でるとエルフの領域から歩き去っていった。アスナにどう言い訳をしたものかともショウキは思ったが、まさかアスナも本気で捕まえる気ではないだろうと、自分自身に都合のいいように自己解釈しておくとする。
「ショウキ」
「ん?」
「アルゴは、ショウキたちにその『すきるぶっく』を持ってきてくれたのでしょうか」
「そうだろ」
アルゴが歩いていった方向をじっくり見つめながら、プレミアが確認するように問いかけてくるのを、考える間もなく肯定する。もちろんお代という対価はいただいていったが、その『明日』の準備とやらが忙しいだろうに、わざわざ今回の件の礼を告げに来るついでに用意してくれたのだろう。同じく見栄っ張り属性持ちのショウキとすれば、そんなことはアルゴも死んでも認めないだろうが。
「はい。やはりアルゴは『いいひと』です」
「ありがとー!」
などとアルゴと一悶着を起こしている間に、どうやら注文の品……とともにリズのスキルだけに頼らぬ技術の盗み見が終わったらしく、大ぶりの突撃槍をエルフの鍛冶師から受け取っていた。相変わらず鍛冶師は無愛想であったが、どことなく疲れているようにも感じられ、ショウキは内心で鍛冶師へと謝っておく。
「アルゴは何の用だったの?」
「ほら、これ」
「へぇ、いいもんくれたじゃなーい! ……値段は?」
「……二つで6,000ユルド」
「……まあ、お買い得では、あるわね」
そんなエルフ特製の突撃槍とアルゴのスキルブックをリズと交換しながら、多少ながら値のはったそれらにリズベット武具店の金庫が心配になりつつも。スキルブックは後で読み込むとしてストレージにしまい、ひとまずショウキとリズはプレミアに向き直って。
「ありがとね、プレミア。連れてきてくれて」
「はい。お役にたてたようでよかったです」
「プレミアー! リズさーん! ショウキさーん!」
そうしてリズに撫でられて満足げな表情を見せつつも、あなたは撫でてくれないのですか? ――と言わんばかりのプレミアの視線に、ショウキは気づかない振りをしてやり過ごすと。幸か不幸か、遠くからショウキたちを呼び出すユイの声が聞こえてきた。
「温泉?」
「ああ。我がエルフ領の、人族にも負けぬと自負する場所の一つだ」
呼び出してきたユイについていけば、エルフのエンジュ騎士団と模擬戦をしていた組が揃っており、キズメルからはそんな誘いをいただいた。いわく聖大樹がある場所には優れた温泉があり、模擬戦の疲れを癒すために入浴するのだが、ショウキたちもどうかと。別に模擬戦をしたわけでもないので疲れてはいないのだが、温泉と聞いては温泉好きを自負するリズが反応する。
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