211部分:ラグナロクの光輝その六十五
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ラグナロクの光輝その六十五
「どうやら私も。自分では冷静なつもりだったが」
「へっ、同じ状況で戦っていてそれはねえだろ」
「そうだな。では私も暴れさせてもらおう」
「おう、一緒にな」
「では行くぞ」
「ああ!」
二人は頷き合った。そして果敢に戦場で舞うのであった。その直前にジークムントは述べた。
「なあ」
「何だ?」
「メーロトのことだけどよ」
「ああ」
「あいつ、本当は死にたくなかったんだろうな」
「おそらくな」
ローエングリンは一瞬寂しげな顔になったジークムントに対して言った。
「生きたかったのだろう、他の者と同じように」
「ニーベルングに生まれなかったらな」
ジークムントは忌々しげに言った。
「ずっと一緒にやれたってのによ」
「だがそれは適わなかった」
「俺に撃たれて、満足そうに死んだぜ」
「そうか、それがあの男の最後の願いだったのだろう」
ローエングリンはそれを聞いて感慨を込めて述べた。
「ニーベルングとして死ぬよりも。卿の友として死ぬことを選んだのだ」
「そういうことか」
「そうだ、いい友を持ったな、私達は」
「そうだな」
ジークムントはその言葉に吹っ切れた。その清々しい顔で今戦場で剣を抜くのであった。
ヴァルターもまた艦載機を発進させている。そこでザックスのモニターにトリスタンが現われた。
「卿か、どうした」
「少し聞きたいことがあってな」
トリスタンはモニターの向こうでこう述べた。
「クンドリーのことだが」
「彼女が。どうした?」
「彼女とは合っているな」
「少しだがな」
ニュルンベルグにおいて。エヴァの侍女として仕えていたのである。それはクリングゾルの謀略であるのだが。
「それがどうかしたか」
「クンドリーは自由を求めていたそうだ」
「そのようだな」
「そしてそれを果たせないまま死んだ」
「ニーベルング族として」
「それでよかったと思うか」
「難しい質問だな」
ヴァルターは顔を上げて答えた。
「彼女は束縛から解放されることを願っていたのだろう」
「うむ」
「だがそれを適えることなく死んでしまった。そうだな」
「その通りだ」
「ニーベルング族から逃れたかったのだ。それでどうして」
「やはりそう思うか」
「私はな」
そう答える。
「この戦いで二ーべルング族の束縛は終わると思うか」
「ニーベルングの長はクリングゾル=フォン=ニーベルング、そしてその中心となっているのはアルベリヒ教団」
「ニーベルングはその司祭長でもある」
そこもまた重要なのであった。
「つまり彼を倒せば」
「ニーベルングの束縛も終わるか」
「クンドリ−の様な者もいなくなるな」
「彼女は。犠牲だったのだ」
トリスタンは彼女を巡る長い
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