210部分:ラグナロクの光輝その六十四
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ラグナロクの光輝その六十四
「!?おかしいな」
帝国軍の先頭の艦艇のある航海長がそれに気付いたのだ。
「どうした?」
「いえ」
艦長に対して答える。
「連合軍の動きが。何か」
「単に退いているのではないと?」
「今までのことを考えれば」
「ううむ」
艦長もそれを言われて考え込んだ。まさかと思った。4
だが命令は絶対である。そのまま進む。距離が縮まってきた。
「よし!」
帝国軍はクリングゾルの号令一下攻撃態勢に入った。
「全艦砲門開け!」
「全艦砲門開け!」
クリングゾルの命令が復唱される。攻撃態勢に入ったことで速度が緩んだ。
「よし、今です」
パルジファルはそれを見てすぐに動きに入った。
「敵に悟られないうちに」
「わかりました」
部下達も軍勢もそれに従う。そして密かに攻撃態勢に入る。
「照準合わせました!」
「よし、撃て!」
「いえ、待って下さい!」
「どうした!?」
ここで異変が起こった。何と連合軍が突進して来たのだ。
「馬鹿な、連合軍が突進して来ただと!」
帝国軍の将兵達はまず我が目を疑った。
「こんなことが有り得るか!」
「しかしこれは!」
「艦載機の発進です」
「はっ」
これがパルジファルの狙いだった。連合軍は突然の突撃で戸惑う帝国軍に対して突進し艦載機を放ってきたのだ。その中には当然ながら九人の戦乙女達がいた。
「宜しいですね」
「はい、今こそ」
モニターに姿を現わすブリュンヒルテがそれに応える。
「雌雄を決する時」
彼女達は一度グラールに収容されていたのである。そして今再び出撃しようとしていたのだ。
「それでは」
「勝利の後でまた」
九機の戦闘機が出撃する。そして帝国軍の艦艇に襲い掛かっていった。
「いいか、一個中隊単位で編隊を組め!」
ジークムントが部下達に号令を出していた。彼は得意の艦載機を使った攻撃の為何時にも増して意気上がっていたのである。
「そして空母を優先して沈めていけ!いいな!」
「空母をですか」
「そうだ」
彼は部下の言葉に答えた。
「敵の艦載機を多く積んでるやつをな、まず叩く」
「そして敵の迎撃を減らしていくと」
「その通りだ、わかったな」
「了解しました」
部下達は頷く。そこでモニターにローエングリンが現われた。
「おっ、司令じゃねえか」
「随分気合が入っているようだな」
「そりゃな、得意の艦載機の戦いだからな」
「そうか、相変わらずだな」
いつもと変わらない親友の様子に彼は笑みを見せた。
「それを見て安心したぞ」
「あんたも乗り気なんだろ?」
「否定はしない」
今度は不敵な笑みになった。
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