145 前哨戦
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瓜原は一人の男子と睨みあっていた。
「瓜原君、どうしたんだろう?」
「何だか嫌な感じに見えるワね」
藤木と美葡はその様子を見ていた。そして瓜原とその男子の会話を盗み聞きする。
「おい、テメエ三年の癖して金賞獲りよって今度は簡単にはさせへんで!」
「別に、わいやって調子のっとらんわ」
「ふん、生意気な奴め!」
藤木は我慢できず、声を掛けた。
「君達、け、喧嘩は良くないよ!」
「藤木君・・・」
「な、何やお前は!」
「君は瓜原君にどうしてそんなに怒ってるんだい!?」
「うるはい!オレはこいつがムカつくんや!三年生の癖に生意気に近畿大会で金なんて一億年早いんや!なんでオレはこいつに負けて銀なんや!ありえんわい!」
「で、でも瓜原君のスケートの実力は本物だよ!そんな言いがかりをつける事はないじゃないか!!」
「なんや、テメエもワイが下手くそだと言いたいんか!?」
「そんな事言ってないよ!」
「ふん!テメエらそろって本番ですっころんで恥かきやがれや!!」
そのヒステリックな男子はその場を去った。
「瓜原君、今のは誰なんだい?」
「ああ、近畿大会で銀だった滋賀県代表の住吉重彦や。六年生でわいに負けて相当悔しかったんやろな」
「そうだったんだ・・・」
美葡も会話に入る。
「私は桂川美葡よ。私も三年生で関東大会で金賞を獲ったけど、負けた人を下手だとは思わなかったワ。それにそこで銀の人は今度は私に勝とうと必死に特訓してるのよ。悔しいからってそんな人を問い詰めるなんて卑怯だワね!」
美葡は住吉を批判した。その時、藤木は美葡の台詞に動揺した。自分の事ではないが、彼女が自分の汚名である「卑怯」という言葉を口にしたからである。
「う・・・、卑怯・・・」
「どうしたの、藤木君?」
「あ、いや、なんでもないよ・・・。そうだ、僕だって中部大会で金賞を獲った時、銅や銀の子が今度は僕を超えようと頑張ってるんだ!だったら超えるように頑張ればいいんだよ!」
「そうよね!」
「瓜原君、あんなの気にする事ないよ!僕達は僕達で頑張ろう!」
「うん、せやな」
藤木は二人とは別れ、両親の元へ行き、滞在している旅館へと戻った。大会後の交友会に参加すべきかどうか相談するために、話しかけることにした。
「父さん、母さん・・・」
「何だい、茂?」
「大会の後に交友会っていうのがあるんだけど、参加してもいいかな?」
「交友会か、いいじゃないか。お前に友達が沢山出来るチャンスじゃないか。行って来ていいぞ!」
「父さん、ありがとう・・・。うん、行ってくるよ!」
藤木は大会後の交友会にも参加する事になり、とても楽しみになった。
翌日も練習だった。昨日は自由に練習だったが、この日はリハーサルである。藤木はこ
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