堕天使と悪魔
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・・」
しかし息が上がっているのは彼だけではなかった。戦っている魔導士全員が既にグロッキー。理由は次から次へと現れる敵兵。
「敵が全く減らねぇ・・・」
「キリがねぇよ!!」
100万のアルバレスの軍隊を前に明らかな戦力差を痛感させられる。だが、それでも諦めないのが妖精の尻尾なのである。
「案ずるな!!道は私が作る!!」
「エルザ!!」
鎧に身を包み進軍を後押しするエルザ。それを見ていたマカロフは自らの力の無さに悔しさを滲ませていた。
「すまん・・・」
「マスター、あまり無理をなさらず。必ず共にギルドに帰りましょう」
「当たり前じゃ、バカタレ」
親子のような絆が芽生えている二人は互いにそれぞれの気持ちを汲み取っていた。その時、周囲の仲間たちがにわかに騒ぎ出す。彼らが指さす先を見ると、そこには巨大な目が彼らを見つめていた。
『メイビス・・・どこに隠れても無駄よ。私の眼からは逃げられない』
騙されたことにより憤りを感じているアイリーンは自らの強大な魔力を駆使して戦場全てを見渡しメイビスを探していたのだ。その不気味な魔法のせいでフィオーレの魔導士たちは恐怖し、士気が下がり始めていた。
『私は逃げも隠れもしません』
「「「「「!!」」」」」
その時絶望している彼らの耳に届く声。それがどこから聞こえてくるのか見回していると、信じられないような光景が姿を見せた。
『あなたたちのいる場所は私たちのギルド。必ず奪い返してみせます。私の声を聞く全ての同志よ。共に戦え!!汝等の剣、妖精軍師が預かる!!』
戦場にいる全員が見ることができるほど巨大な幻影。それを見た魔導士たちは驚きと共に頼もしい言葉に歓喜した。
「戦場の士気を一気に上げるとは・・・」
アイリーンのセリフさえも計算にしての演出。これには敵は苛立ち、味方はどんどん敵兵を押し返していった。
「下らないな。実に下らない」
その鼓舞を見て冷ややかな目をしている者が一人。彼は息絶えているビッグスローの上に腰掛け魔封石で拘束された上に多くの肌を露にしているディマリアを踏んづけていた。
「あの程度の鼓舞で盛り上がる軍隊・・・それで役目を果たしたと思っている大将・・・先陣を切って戦うどこぞの宇宙の帝王の方が遥かに有能だぜ」
そう言った彼は大きなあくびをしてみせると、立ち上がってディマリアを見下ろした。
「待ってくれ!!ティオス!!」
これから何をされるのかはすぐにわかった。今まで彼がしてきたように自分も殺されること・・・死に直面して初めてわかる恐怖に、彼女は震えていた。
「ビビるなよ。黒き天女よ」
「
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