堕天使と悪魔
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人に背を向けたティオスはどこかへと歩いていこうとする。
「安心しなよ。すぐにその二人も・・・
君たちの元に送ってあげるから」
凶悪犯のような笑みを浮かべてその場を後にしたティオス。止まらない悪魔の行進に思われた・・・しかし、彼は決して完璧な悪魔ではなかった。
「ううっ・・・」
一人の少女と一匹のエクシード・・・彼女たちにトドメを刺すことをしなかったのだから。
その頃妖精の尻尾のギルドではある異変が起こっていた。
「私が魔力を分離させるのにこんなに時間がかかるのは初めてよ」
メイビスの持つ魔力と肉体とを引き剥がすための魔法を行っているアイリーン。その後ろから、皇帝に相応しい服に身を包んだゼレフが現れた。
「アイリーン」
「陛下・・・まだ何か御用が?集中したいのですけれど」
魔力の分離は繊細な作業とも言える。故にアイリーンは他者から邪魔されるのを非常に嫌がっているのだが・・・
「一旦手を止めてくれ」
「!!」
予想だにしなかった発言に思わず彼女は振り向いた。
「僕の話を聞くんだ」
「何事ですか?」
「メイビスと最後の会話がしたい。二人で」
「この期に及んで何をふぬけたことを・・・」
アイリーンは苛立ってしまった。自分たちの頂点に立つ男のあまりに女々しさに。
「三分でいい。時間をくれないか」
「陛下・・・しかし」
彼の希望を叶えてあげたいとも思ってしまうアイリーンだが、それでは魔力分離にさらなる時間を有してしまうことになる。どうすればいいのか迷っていると、突然走り込んでくる青年の姿が見えた。
「アイリーン!!それは僕じゃない!!」
「!!陛下!?」
嫌な予感がしたため戻ってきたゼレフ。彼が現れたことにより、それまでアイリーンと会話をしていたゼレフが消えた。
「まさか・・・」
メイビスの体へ触れるアイリーン。しかし、それを手がすり抜け、流れ出る水のように消えてしまった。
「幻・・・!?」
「メイビスの得意とする魔法だ」
「いつの間に・・・!?」
「インベルがやられたのか・・・」
メイビスがいなくなっていたことに全く気が付かなかったアイリーン。彼女は怒りで顔つきが変わっていた。
「この私が・・・騙されたというのか・・・」
「今すぐ追うんだ。でも、キズつけたりしてはいけない」
「ええ」
騙されたことによりこれまで以上の集中力を発揮し始めたアイリーン。一方のメイビスは仲間たちと合流しようとしていた際、瞬間移動で現れたメストに救出され、
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