生存戦 4
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て感じ」
「それは、そっちも、おなじじゃ、ねえのかよ」
精霊魔術もまた魔術のひとつに変わりはない。自然や生命、精神。万物に宿る精霊たちの力を借りて行使するのにもマナを消費する。むしろルーン言語をもちいた魔術よりも荒削りなぶん、消耗が大きい傾向があるとされる。
マナ・バイオリズムが乱れやすく、短時間に連発すればマナ欠乏症におちいる。
たとえ相手が魔獣であっても。
「そろそろ打ち止めじゃねえのか」
「ふん、そうでもないわよ。――あたしの小さなお友達、袋を持ったおじいちゃん、この男の目に砂をまいてあげて!」
急速な睡魔が襲ってきた。みずからの意思とは関係なくまぶたが落ち、頭の中が真っ白になる。意識が混濁し、深い深い眠りの淵へと落ちてゆくのを感じた。永遠に醒めることのない、夢の中へと――。
ジャイルの上半身は前のめりに倒れ、スキュラの前にひれ伏すような格好になった。
(くそっ……たれ……! またか、また俺は倒れちまうのかよ……)
身動きできないジャイルの腹に蛇の牙が突き立てられる。普通の蛇のような二本の尖った牙ではなく、鮫の歯のようなぎざぎざした構造になっていた。肉と内臓を食い破りやすいように。
「ぐぅぅぅ……!」
【ボディ・アップ】がかかっていなかったら、たちまち体内に潜り込まれていたことだろう。
足元に血溜まりが広がる。
「ふん、男の肉ってきらいよ。固いんだもの」
大蛇の頭がエマの胸元に伸びて牙を立てた。着衣が紙くずのように破れ、ひかえめな乳房があらわになる。
「女の心臓は好きよ。柔らかくて美味しいの。特にこのくらいの歳の子の肉は大好き!」
エマの薄い胸板に大蛇の牙が潜り込もうとした、その時。
「うおおおーっ!」
雄叫びとともに、ジャイルは上体を起こした。
スキュラがおどろいてエマに伸ばしたら蛇の頭をひっこめる。
膝をついた姿勢のまま夢中で剣を振るった。
「ギャッ!」
鎌首のひとつが断ち切られ、生き物のように血が垂れ流れる。
「やらせねぇ、仲間はやらせねえぞ、コラァッ!」
剣を杖のようにして立ち上がる。急速に睡魔が去り、頭の中を覆っていた影が晴れてゆく。
意志の力で相手の魔術を打ち破ったことに、心が高揚するのを感じた。
胆の勝負で、負けてはいない。
自信と闘志が沸々と湧いてきた。まだ危機は去っていないのに、すでに勝利したような気分だった。
「まだ終わってねえぞ、コラ。もう友達はいないのかよ、呼べるもんなら呼んでみろ。いくらでも相手してやるぜ」
「ひ、ひどい! よくもやったわね!」
スキュラは痛みに涙を流しながら襲いかかってきた。
「あんたなんか魔術を使うまでもないわ、あたし
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