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209部分:ラグナロクの光輝その六十三
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ラグナロクの光輝その六十三

「いけませんね」
 パルジファルは自軍の状態を見て言った。
「すぐに退きます」
「ここでですか?」
「そうですが」
 驚く部下に対しても落ち着いて返す。
「今はその時ですが」
「しかし」
「仰りたいことはわかっているつもりです」
 さらに言う部下にまた返した。
「今すぐに総攻撃を仕掛けるべきだと。そう仰りたいのでしょう」
「その通りです」
 部下は強く頷いた。
「今すぐに攻撃を仕掛ければ」
「いえ、駄目です」
 しかしパルジファルはそれを許さなかった。
「今は退く時です」
「何故」
「今敵はこちらに向かおうとしています」
「はい」
 それはよくわかる。その為にこちらの包囲を避けたのであるから。
「だからこそそれを迎え撃ち」
「それが駄目なのです」
 パルジファルはそれこそ駄目なのだと述べたのだ。
「では戦わないのですか!?」
「そうでもありません」
 それも否定した。
「今が決戦の時、どうして戦わないでいられましょう」
「ではどうして」
「槍をかわすのです」
「槍を!?」
「はい、今帝国軍は槍を構え突撃してくる騎兵です」
 モニターを見据えながら言う。そこには今にも攻撃を仕掛けんと身構えている帝国軍の大軍が確かにいた。パルジファルはそれを評して騎兵と言ったのである。
「今それとまともに激突すればこちらの損害も大きなものとなるでしょう」
「だからここは」
「はい、それをかわします」
 その為に退くとはっきり言った。
「そしてかわしたならば」
「こちらの番です。それで宜しいでしょうか」
「はい」
 彼はそこまで聞いて満足そうに頷いた。そしてパルジファルに対して頭を下げた。
「申し訳ありません、そこまでは考えが至りませんでした」
「いえ、それはいいです」
 彼はそれはよしとした。だが。
「ですが敵の攻撃をかわしたならば」
「わかっております」
 彼だけでなくグラールの艦橋の者全てが応えた。
「その時こそ」
「勝負を決める時です。よいですね」
「ハッ」
「クリングゾル=フォン=ニーベルング」
 モニターに映る両軍を見据えたまま言う。赤く映し出された帝国軍にはっきりとクリングゾルを見ていた。
「貴方が勝つか私達が勝つか。これで決まります」
 連合軍は退きはじめる。それに対して帝国軍は果敢に突き進む。
「押し切れ!」
 クリングゾルはハーゲンの艦橋から自ら指揮を執っていた。
「敵が退くならば追いつく。そしてそのまま突き破るぞ!」
「ここでですか」
「そうだ!」
 声は何時になく強いものになっていた。
「ここで雌雄を決する、銀河においては」
「わかりました。では」
「もっともそれが適わなくとも」
 彼は心の中で
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