第42話 ルビンスキーの恐怖
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の概要が少しずつ集まった結果ルビンスキーすら驚く状態が判ってきた。
うむ、シトレとロボスは意識を取り戻したか、しかも代行はグリーンヒルとクブルスリーかある意味真っ当な人事だ。此ならば帝国に攻撃を主張する事は無かろう。しかし国防委員長の醜態をトリューニヒトが殊更に論うとは、やはり事件はトリューニヒト派が起こしたかもしれんな。しかし、あの男が敢えて危険を冒すとは思えん。益々判らなくなる。ルビンスキーよ、良く考えるのだ。
しかもフォークを誘導し手引きした人物が2名も居る、そうなるとトリューニヒトと言う可能性は消えてくるか?いったい誰なんだ?
その日の夜、ルビンスキーは私邸の奥まった一室に座っていた。
窓のないその部屋は厚い鉛の壁に囲まれて密閉されており、空間そのものが極性化されている。
コンソールのピンクのスイッチを入れると、通信装置が作動した。
「私です。お答え下さい」
「私とはどの私だ?」
宇宙の彼方三千光年から送られて来た返答は、この上なく尊大だった。
「フェザーンの自治領主、ルビンスキーです。総大主教猊下にはご機嫌麗しくあられましょうか」
ルビンスキーとは思えないほどの腰の低さである。
「機嫌の良い理由はあるまい・・・・・我が地球は未だ正当な地位を回復してはおらぬ。地球がすぐる昔のように、全ての人類に崇拝される日まで、我が心は晴れぬ」
「ルビンスキーよ、同盟でテロが起こったようだな」
「はっ、猊下」
「汝の手駒、アンドリュー・フォークが見事な仕事をしてくれた」
何を言うんだ、総大主教猊下は、フォークの事は秘密にしていたのだが。
「ルビンスキー、顔が蒼いぞ汝らしくもない」
「はっ・・・」
「汝の隠し事など、全て判ると言うことを忘れぬ事だ」
「はっ・・・」
「裏切るなよ」
地球教本部にフォークの事がばれていた、つまり今回のテロは地球教の示唆で有ると言う事か、そして俺に対する警告と言う訳か。
「此は思いもかけぬ事を仰います」
「なら良い、その殊勝さが、汝自身をまもるであろう」
定時連絡を終えたルビンスキーは、大理石のテラスで呆然と星空を見上げていた。
総大主教猊下、恐ろしい事だ。ワレンコフの二の舞はゴメンだ。
しかし、いったい誰が、フォークの事を・・・・いったい誰なのだ?
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