第5章:幽世と魔導師
第158話「八将覚醒」
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薔薇姫……どうして片方がデバイスなのかは気になるけど……私は草柳鈴よ。聞き覚えはあるでしょう?」
「鈴……もしかして、鵺の時の……」
「ええ。この度、記憶を持って生まれ変わったわ。……あの子を止めるために」
その言葉で、鈴と悪路王がなぜここにいるのか、二人は理解した。
「……今のとこよの……大門の守護者の力は神に匹敵するわ。勝てるの?」
「勝てる……なんて、口が裂けても言えないわ。でも、そちらにはまだ手があるのでしょう?」
「……一応ね。保険となる存在はいるし、最善とは言えないけど手はあるわ」
「なら、その時間稼ぎだけでも私は構わないわ。……ただ黙って見てられないもの」
「そう……」
椿に、今の鈴を止める理由はなかった。
また、悠長な事をしている場合ではないため、引き留める事もなく会話を終わらせる。
「じゃあ、先に行きなさい。私は彼を起こしてから行くから」
「ええ。……知った顔にまた会えて嬉しかったわ」
そう言って鈴は先に京都へと向かった。
「……最後の会話みたいに言ってるんじゃないわよ」
「あれは、捨て身で行くつもりだね……」
別れの言葉のように言った鈴に向け、椿と葵は思わずそう呟く。
「……悪路王、ついて行かなくてもいいのかしら?」
「すぐに向かう。だが、貴様らに一つ聞いておきたい事があってな。……“憑依”の術は使わないのか?」
少し残った悪路王は、椿達に向けてそう聞いてくる。
「……いえ、術式はともかく、環境の問題で使ってなかったわ。でも……」
“今の状況なら”と椿はそこまで考えて、ふと思い当たる。
「どうして、そんな事を?」
「なに、少しばかり予感がしてな。手段として取っておくといい」
「……?」
「ではな」
悪路王自身も、確信があって言った訳じゃなく、そのまま京都へと向かっていった。
残された二人は、どういうことなのかと、首を傾げた。
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