暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第158話「八将覚醒」
[3/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
事など、葵の眼中にはなかった。
 頭の中にあったのは、ただ一つ。



   ―――椿を殺したこの妖を、赦せないという“怒り”のみ。



「っ、ぁあああああああああああああ!!」

 気絶から目を覚まし、未だに全快していないとは思えない速度と踏み込みで、一気に妖の薔薇姫へと肉薄する。

「逃さない!」

   ―――“呪黒剣”

 そのままレイピアを怒涛の勢いで繰り出し、避けられた所で黒い剣を地面から生やす。

「ッッ!」

 直後にレイピアを大量に生成、一気に打ち出す。
 だが、薔薇姫はそれを蝙蝠化する事で躱し……。

「逃がさないって、言ってるでしょ!!」

 葵が、その一手を上回る。
 生成して打ち出したレイピアが、蝙蝠たちを的確に貫く。
 自身と同じ姿、戦い方をしている故に、対処ができたのだ。

「っ!」

     バチィッ!!

 ……だが、だからと言って、確実に勝てるという訳じゃない。
 薔薇姫にはレイピアの生成能力がない代わりに、瘴気がある。
 そして、その厄介さは、葵のレイピア生成を上回る。

「っ、この……!」

   ―――“呪黒剣”

 瘴気に弾かれた葵は、即座に呪黒剣で反撃する。
 蝙蝠化であまり当たらないものの、何匹かの蝙蝠を貫く。

「っ……!」

 瘴気の触手が次々と葵へ襲い掛かる。
 椿は相性が良かったのに対し、葵では逆に瘴気と相性が悪い。
 近づくだけでも困難になるからだ。

「っ、ぁあっ!!」

   ―――“速鳥”

 ……だからと言って、葵が止まる理由にはならない。
 葵は自身に術を掛け、敏捷性を上げる。
 そのまま瘴気の触手を掻い潜り、いつの間にか元に戻っていた薔薇姫へと肉薄する。

「はぁぁっ!!」

     ギギギギギィイイン!!

 レイピアを連続で振るい、薔薇姫と切りあう。
 近接戦において、同じ“薔薇姫”である二人は互角……とは言えなかった。

「(こいつ……!瘴気で強くなっている……!)」

 そう。瘴気の霊力によって、薔薇姫の能力は底上げされていた。
 一回目の戦闘よりも強くなっていた薔薇姫を相手に、葵は押される。

「くっ……!」

 そこへ瘴気の触手が迫り、葵は後退するしかなくなる。
 レイピアを牽制として射出し、瘴気の触手に突き刺すが、あまり効果はない。

「(かやちゃんは自身の霊力で瘴気の浸食を防いでいたんだろうけど、あたしの場合、波長が合いすぎて防げない……!)」

 一回目の戦闘と同じく、瘴気は葵のレイピアを蝕んだ。
 しかも、その瘴気は葵と同じ体が生み出している。
 相性が悪い訳ではないが、それだと逆に相性が()|す《・
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ