第5章:幽世と魔導師
第158話「八将覚醒」
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事など、葵の眼中にはなかった。
頭の中にあったのは、ただ一つ。
―――椿を殺したこの妖を、赦せないという“怒り”のみ。
「っ、ぁあああああああああああああ!!」
気絶から目を覚まし、未だに全快していないとは思えない速度と踏み込みで、一気に妖の薔薇姫へと肉薄する。
「逃さない!」
―――“呪黒剣”
そのままレイピアを怒涛の勢いで繰り出し、避けられた所で黒い剣を地面から生やす。
「ッッ!」
直後にレイピアを大量に生成、一気に打ち出す。
だが、薔薇姫はそれを蝙蝠化する事で躱し……。
「逃がさないって、言ってるでしょ!!」
葵が、その一手を上回る。
生成して打ち出したレイピアが、蝙蝠たちを的確に貫く。
自身と同じ姿、戦い方をしている故に、対処ができたのだ。
「っ!」
バチィッ!!
……だが、だからと言って、確実に勝てるという訳じゃない。
薔薇姫にはレイピアの生成能力がない代わりに、瘴気がある。
そして、その厄介さは、葵のレイピア生成を上回る。
「っ、この……!」
―――“呪黒剣”
瘴気に弾かれた葵は、即座に呪黒剣で反撃する。
蝙蝠化であまり当たらないものの、何匹かの蝙蝠を貫く。
「っ……!」
瘴気の触手が次々と葵へ襲い掛かる。
椿は相性が良かったのに対し、葵では逆に瘴気と相性が悪い。
近づくだけでも困難になるからだ。
「っ、ぁあっ!!」
―――“速鳥”
……だからと言って、葵が止まる理由にはならない。
葵は自身に術を掛け、敏捷性を上げる。
そのまま瘴気の触手を掻い潜り、いつの間にか元に戻っていた薔薇姫へと肉薄する。
「はぁぁっ!!」
ギギギギギィイイン!!
レイピアを連続で振るい、薔薇姫と切りあう。
近接戦において、同じ“薔薇姫”である二人は互角……とは言えなかった。
「(こいつ……!瘴気で強くなっている……!)」
そう。瘴気の霊力によって、薔薇姫の能力は底上げされていた。
一回目の戦闘よりも強くなっていた薔薇姫を相手に、葵は押される。
「くっ……!」
そこへ瘴気の触手が迫り、葵は後退するしかなくなる。
レイピアを牽制として射出し、瘴気の触手に突き刺すが、あまり効果はない。
「(かやちゃんは自身の霊力で瘴気の浸食を防いでいたんだろうけど、あたしの場合、波長が合いすぎて防げない……!)」
一回目の戦闘と同じく、瘴気は葵のレイピアを蝕んだ。
しかも、その瘴気は葵と同じ体が生み出している。
相性が悪い訳ではないが、それだと逆に相性が良|す《・
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