第5章:幽世と魔導師
第158話「八将覚醒」
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ある?当時いた式姫も、ほとんどいなくなった。私たち以外に誰がやるというのだ?」
「……それは……」
鞍馬の言葉に口籠る蓮だが、それは仕方がない事だった。
この中で大門の守護者と相対したのは蓮のみ。
そして、蓮は大門の守護者のその強さに、怯えているも同然だった。
「……危険すぎます。いくら私たちが束になった所で、すぐさまやられるだけです」
「その口ぶり……戦ったのか?」
「はい。……手も足も出ませんでした。それどころか、瘴気に覆われて姿を確認できなかったほどです」
霊力を以て戦えば、自然と瘴気による認識阻害は無効化できる。
それができなかったほどの相手だと、蓮は伝える。
なお、瘴気を用いた術式による認識阻害は、例外になる。
「……だが、それでも私たちがやらねばならないだろう」
「っ……はい」
鞍馬は決して無謀な戦いをする性格ではない。
作戦を練り、負けるような勝負を勝てるようにする参謀タイプだ。
だが、そんな鞍馬は苦虫を噛み潰したような顔……。
すなわち、“作戦があっても勝てそうにない”と分かっている顔で、そういった。
鞍馬自身も、無謀なのはわかっているのだ。
それでも、式姫の義務として、戦わなければならない。
その覚悟を、蓮も感じ取り、その言葉を肯定した。
「どこまでやれるかはわからん。幸い、私たち以外にも戦える者がいる。……御膳立て程度だが、やるぞ」
鞍馬のその言葉に、各々反応を見せながらも頷く。
三者三様と言った反応だったが、覚悟を決め、戦うという意志があるのは共通だった。
「作戦は一応立てる。まぁ、歯が立たないだろうが、ないよりはマシだろう」
「とりあえず、向かいましょう」
そういって、蓮達は京都へと足を向ける。
「………っ、ちょっと待って……!」
その途中、織姫が何かに気づいたように声を上げる。
「これって……!」
「これは……霊気が……!?」
それは、全盛期の時には及ばずとも。
まるで、全盛期の時代のような霊気と、溢れてくる力に、彼女たちは驚いていた。
―――生き残りの式姫達が移動を始めた、その一方では……
「……かや、ちゃん……?」
優輝よりも傷は少なく、そのために早く目を覚ました葵の目には、信じられないものが映っていた。
「う、嘘……」
レイピアを伝う血、そのレイピアが刺さっているのは、椿の胸。
そして、レイピアが抜かれ、力なく仰向けに椿は倒れる。
……その光景が、葵には信じられなかった。
「っ………!」
妖の薔薇姫がまだ生きていた
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