第13話 鬼畜王戦争の記憶V
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口を開けば、少しでも思い返せば、湯水のごとく、温かい気持ちが湧き上がってくる。
そして、ここにいる女達の願いは、ただ一つだけだった。
――帰ってきて欲しい、と言う願い。
それは、戦争を手伝え、共に戦えと言ったものではない。ただ、傍にいて欲しいと願うだけだった。
『………』
仮面をかぶった男、ゾロは ゆっくりと背を向けた。
しがみつき泣き続けるヒトミの頭を撫で、落ち着かせる。ヒトミ自身はまだまだ涙を流していて、離れる気配がなかったのだが、少し落ち着ける事ができたのか、或いは本当に久しぶりの感触。撫でてくれた事で 心が癒されたのか、向けられた表情は 笑っている様に見えた。
でも、その笑顔も直ぐに陰る事になる。それはヒトミだけではなく……。
『……お前達の想いの強さも判る。私にも判る。その表情を見れば一目瞭然。秘めている内なる想いもハッキリと私には見えた』
表情こそは仮面の奥にあり、見えないのだが それでも雰囲気で分かった。申し訳ない、と表情を落としている事に。
『私から言えるのは『すまない』そして『申し訳ない』それしか言葉が見つからない』
それは聞きたくはなかった返答だった。
勇者災害と言う未曽有の事態から露わになったゾロと言う男。一目みた時から何かが引っかかり……会う度に確信に近い気持ちが固まってきていた。
やっとの思いで目の前の男と対峙した。間違いないと誰もが思っていた。
それは、相手にしてみれば、勝手な思い込みなのかもしれない。それでも―――ここまで来たんだから。
『否、それだけではないか。ユーリ・ローランド。………それは誰だ? 私の名はマスク・ド・ゾロ。申し訳ないが、違うとしか言えない。人の身で姿を現しているのだが、私と言う存在は―――』
ゆっくりと手を掲げると、光の粒子が降りてきてゾロの周囲に降り注いだ。
『私はマスク・ド・ゾロ。その名を持ち、……創造神の啓示を受けた者。とも言っておこう。この世界から神は去った――が、残してくれた物はあるのだ。それが今、我が力となっている。……私の力は そう言ったものからきているのだ。故に、人外な力と言われている』
神々しいまでの光だった。
神異変で全ての神や天使がいなくなってから 久しく感じなかったもの。
そして――それが決定的だったかもしれない。
皆が知るユーリ・ローランドと言う男は、神と言う存在を好ましく思っていないと言うのは 皆が知っているから。そして、フェリスが誰よりもそれを感じた。神か悪魔か、と問われれば 悪魔をとる――と言っていたから。
『では、私は行く。………さらばだ』
光を纏ったま
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