第13話 鬼畜王戦争の記憶V
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が その辺りは判ってもらいたい。……先程の様に、いつも危険な時にしか駆けつけられないのは、悪いと思っているが。いや、駆けつけられてない時もあることを踏まえても……すまないな。人類の危機だと言うのに』
その顔半分がマスクで覆われており、表情は見る事は出来ないが、それでも 申し訳ない、と落としているのは判る。判るからこそ、本当の事を言っているのだとも思えてしまうのだ。
『それが望みなのであれば、現時点で叶える事は出来ない。私は戦いには、協力する。……が常に行動を共にいる事は出来ない』
『ッ……』
『それと、思い出す、と言うのは一体何のことだろうか。ミラクルの様に、お前達も私を誰かと勘違いをしているだけなのではないか?』
その言葉を訊いた瞬間に、志津香が更に前に出た。
表情を隠す様に帽子を深くかぶっていたのだが、それを脱ぎ去って、ゾロを正面から見た。
そして、志津香だけではない。
共に此処に来た かなみやヒトミ、シーラ、ハンティ、フェリス、香、五十六、ウスピラ……。
此処に来る事が出来た者。間に合った者全員が前に出た。
『勘違いなんかじゃないっ! 思い出して!! アンタは………っ、アンタは……』
志津香の目からは大粒の涙が零れ落ちており、それが志津香の勢いによって宙へと舞った。舞うと同時に、その名を口にする。……男の名を。且ての人類の英雄の1人の名を。
『ユーリ。……アンタは、ユーリ・ローランド! ………ゆぅっ!!』
それが、その名を呼んだ瞬間が合図だった。弾かれる様に皆が動き出した。
『ユーリ、おにいちゃんっっ! もどってきてよっ、お兄ちゃんなんでしょ? ぜったい、ぜったい……。わたし、わたしにはわかるんだからっ!! 私がおにいちゃんの事、間違える筈ないもん! ず、ずっと ずっと会いたかった。会いたかったんだからっっ!! うわぁぁん おにいちゃんっっ!!』
ヒトミがゾロの所へと駆け出し、しがみ付いて泣き出す。マスクを着けている為、表情は読み取れないゾロだが、言葉を発する事もなく、ヒトミのしがみ付かれたまま、だった。
そして、次にヒトミの傍にいて、同じく涙を流しているのは かなみだ。彼女は抱き着いたりはしなかったが、その場で身体を震わせていた。
『ユーリ、さん……。なんですよね。ユーリさん、ですよねっ!? 戻ってきてくださいお願いしますっ。わたし、わたし あなたがいないと……わたしっ……。みんなみんな、待ってるんですっ。ウズメも、ユーリさんの事を……帰りをずっとずっと待っているんです』
続いて、ハンティとシーラもだった。順番待ちをする……なんて余裕はない。想いの丈をぶつける為に、今 集まれる者だけの全員が、此処に集ったのだから。いや
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ