第13話 鬼畜王戦争の記憶V
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た娘たちが訊きたかった答えとは程遠かった。
誤魔化している気配が視えない。本当に知らない……と言わんばかりに答える姿勢に、心が折れそうになったのも無理はない。
『―――いつも、いつも、救ってくれているのは感謝しているわ』
そこに一歩前に出たのは、ミラクルではなく志津香だった。
自身がかぶる魔法使いの帽子をぐっ と深くかぶり 男の顔を見ない様にしつつ、話し続ける。
『RA5年…… あの馬鹿が魔王の血に負けてしまった時の最初の襲撃。リセットのクラウゼンの手が届いたのも、アンタがランスを止めてくれてたからだってこと、判ってる。リセットの事も微かに覚えて、止まったって見方が多いみたいだけど…… それ以上にアンタがしたって判ってる。アンタがいなかったら成功しなかった。魔王の時だけじゃない。……その前の魔人戦でも』
それは公にはなっていない事だ。
一度目の魔王ランスを止めたのはリセットの一撃である、が実際にはやや異なる。確かに魔王の血に侵され、屈したランスだったが、リセットの顔は まだ心の何処かに微かに残っていた様で、それで隙が出来た と言うのも間違いではない。……だが、それでも 相手は魔王の称号を持つ この世界で絶対の強者。如何に強い戦士がいた所で、そうやすやすとリセットの攻撃、ビンタが届くとは思えない。
その一役を担ったのが……眼前の男だった。満身創痍と言っていい魔軍との連戦にて、陰ながらに敵戦力を減らし、魔王まで導き、その魔王戦において、傍らで魔法を放つなどして決定的な隙が出来たのだから。
『ふむ……。そうだったな。確かに』
ゾロはそれを否定する様子は無かった。
それは、あっさり認めるのに、肝心な所は認めてくれない。ゾロとあの男は別人である……と言う可能性だってあるかもしれないが、今の志津香には、いや この場に集った全員がそれを認めたくはなかった。そして、もう1つの候補があるのだ。本人であるけれど、本人ではない。矛盾しているかもしれないが、有り得る現象の候補がもう1つ。
『っっ……!! 戦うなら、最初から協力してよ!! 違う……違うっっ! いつも、いつも、私達の傍にいてっっ!! きっと、きっと…… 思い出す筈だからっ!』
そう――何らかの影響で記憶を失っている、と言う可能性だ。
第二次魔人戦争後の突如の消失。原因は誰にも判らなかった。その時に何かがあったのは判る。もう敵対する魔人は全て撃破し、もう危険は何一つない筈なのに。それでも何かがあり、そして 記憶を封じられた可能性だってある、と感じていた。
ゾロは、それを訊いて ゆっくりと首を左右に振った。
『すまないな。生憎だが、私が活動できる時間は限られているのだ。詳しくは説明できない
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