206部分:ラグナロクの光輝その六十
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ラグナロクの光輝その六十
「どうということはない」
「それでは」
「戦線を再構築し、すぐに再度敵にあたる」
彼の考えはこうであった。
「よいな」
「わかりました」
「七匹の竜と共にだ」
この存在がやはり大きかった。
「竜を使って連合軍を撃つ」
「はい」
「それを忘れるな」
帝国軍はファゾルトとファフナーを前面に出してきた。その間に下がる。だが既に連合軍は七隻のケーニヒ級戦艦を出してきていたのであった。
「照準既に合わせています」
「わかりました」
パルジファルは部下の報告に応えた。そしてそれから述べた。
「今度もまた肝心ですよ」
「ロンギヌスですか」
「はい、これを外せば戦いは危うくなります」
「あの巨大な黒竜ですね」
「そうです」
七匹の黒竜がそこにいた。その中心にいる竜にロンギヌスの照準を定めていたのである。それを外せば。どういうことになるかは言うまでもないことであった。
「他の六体の竜への照準は」
「前方にいる六隻のケーニヒ級戦艦が既にロックオンしております」
「ですか。では勝負は一瞬です」
パルジファルは正面を見据えた。そこにファゾルトがいた。
「これを外せば竜の攻撃が我々を襲い」
「そして帝国軍は戦線を立て直す」
「そうなれば勝利は容易ではありません」
今ここに勝利がかかっているのだ。
「それは今」
「はい」
「掴めるかどうかです。ですから」
「撃つのですね」
「この一撃で決めます」
パルジファルはファゾルトを見据えていた。
「勝利も」
「わかりました。では」
部下達にもそこの意気は伝わった。最早躊躇なぞ何処にもなかった。
「砲撃用意!」
「砲撃用意!」
命令が復唱される。
「攻撃目標前面の巨大竜」
「外すなよ!」
声が艦橋を飛び交う。パルジファルはその中に身を置き機を見計らっていた。
「総帥!」
「わかりました」
全てが整った。それを受け今槍が放たれようとしていた。
槍が放たれた。一直線に竜に向かう。
「当たれよ」
それを見る全ての者がそれを願っていた。外れれば終わりだ、だからこそ当たることを願っていた。
かわすか、それとも弾き返すか。それだけでこの戦いは終わってしまう。惑星すら破壊し尽くす竜の攻撃を受け彼等は大きな損害を被るだろう。それこそ戦局がひっくり返る程の。だからこそ彼等は祈ったのだ。槍が竜を射抜くことに。槍は一直線に竜に突き進んだ。
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