暁 〜小説投稿サイト〜
外伝・少年少女の戦極時代
斬月編・バロン編リメイク
常若の実で焼いたパイ
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、んぐ――、――ん」
「どうなさいました?」

 咲は無言で、今度は少なめにパイを切ってフォークの先に刺した。

「おねーさん。あーんして」
「はい?」
「あーん」

 藤果は困惑した顔で口を開け、フォークの先のパイを食べた。

「……美味しくないですね」
「うん。まずいかもだ」

 言って、咲はフォークでパイをまた一切れ、食べた。

「あの、お嬢様? 無理して食べなくてもいいんですよ?」
「やだ。おいしくなくても、食べる」

 ――会ってまだ1日程度なのに、藤果は自分の食欲がないことを見抜いてくれて、しかも手作りでアップルパイなどという手の込んだ料理を作ってくれた。
 美味しくないとしても捨てたくなかった。食材も、藤果の思いやりも。
 料理は愛情、とは作る側に限った話ではないのだ。

「……飲み物。紅茶とミルクを用意しましたけれど」
「じゃあ、ミルクがいい」
「はい。お嬢様」

 藤果の笑顔が、なんだか照れくさくて。咲は小皿の上のアップルパイに視線を落とした。
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