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205部分:ラグナロクの光輝その五十九

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ラグナロクの光輝その五十九

「撃て!」
 パルジファルの右手が勢いよく振り下ろされた。こうしてラグナロクが幕を開けたのであった。
 何もない空間からいきなり光が起こった。そして帝国軍を側面から撃ち据える。その思いも寄らぬ攻撃を受けた帝国軍は瞬く間に前線の多くの艦艇を吹き飛ばされた。これにより前面の敵主力への攻撃が止まってしまった。
「何だ一体!?」
 前面の艦隊の司令官達が思わず叫ぶ。
「何があったのだ!」
「敵襲です!」
 オペレーターがそれに報告する。
「それはわかっている!何処からだ!」
「右です!」
「右!?そんな馬鹿な」
 だがそれは彼等にとって耳を疑うべき言葉であった。
「正面からではないのか。右なぞ」
「いえ、それが事実なのです」
 しかし返答は変わりはしなかった。
「右に敵艦隊がいます」
「馬鹿な、何時の間に」
「そして正面にも」
「何ということだ、今まで気付かなかったというのか」
「司令、大変です!」
 呆然とするその司令のもとにまた報告が入った。今度は殆ど悲鳴であった。
「どうしたのだ、今度は!」
「正面から攻撃です!」
「クッ、この時を狙っていたか!」
「ビーム及びミサイルの斉射です!かなりの数です!」
 不利な報告であった。
「防げ!」
「駄目です、間に合いません!」
「バリアーを張れ!さもないと死ぬぞ!」
「し、しかし・・・・・・」
 その命令は間に合わなかった。帝国軍の前面の艦艇は連合軍の攻撃を受け瞬く間に破壊されていく。これでかなりの数が減った。だが帝国軍上層部はそれに臆してはいなかった。
「連合軍の別働隊が回り込んでいたか」
 新たな赤黒い色と金で塗られた巨大な艦がそこにあった。この艦の名をナグルファルという。クリングゾルの新たな旗艦であった。彼はそこの艦橋にいたのだ。
「はい、おそらくは」
 部下達がそれに報告する。艦橋の中では管制のスタッフ達が青い顔で走り回っている。しかしクリングゾル自身は冷静なままであった。
「その別働隊の攻撃により我が軍の攻撃は挫かれました」
「そして今敵主力の攻撃により。大きなダメージを受けております」
「前面の損害はどの程度か」
「三割程です」
「そうか、わかった」
 クリングゾルはそれを聞いて頷いた。そしてすぐに指示を下した。
「前面の艦隊を後方に下がらせよ」
「宜しいのですか?」
「構わん。その間戦線はファゾルトとファフナーで支える」
「竜で」
「一瞬でいい。一撃を浴びせたら竜も下がらせよ」
「はい」
「まだ緒戦を制されただけだ」
 彼は落ち着いた様子でこう述べた。

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