小説版鎧武における掌編
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〔親愛なるフォーチュン・クッキー〕
現在の呉島貴虎は、各地のユグドラシル支社から漏えいしたドライバーとロックシードを回収するため、世界中を飛び回る生活をしていた。
ハードスケジュールだが、貴虎自身はそれを苦とは思わない。
ノブレス・オブリージ。力を持つ者は、持てる力に相応の働きを。父からのその教えだけは、貴虎という男に正しく根ざしていた。
今日もそうだ。
ロシアで悪用されていたドライバーとロックシードを回収した貴虎は、その足で南アジアの某小国を訪れた。
空港のロビーにて。着の身着のままで入国した貴虎は、暇を見つけて夏服を調達に行こうと考えながら、ある人物の到着を持っていた。
「きゃー! メロンの君〜、ご無沙汰〜!」
その人物とは、おそらくは世界最強のパティシエである、男――かどうかはおいて。凰蓮・ピエール・アルフォンゾである。
「わざわざ遠くまで来てもらってすまない」
「とんでもない! お呼びとあらばこのワテクシ、たとえ地球の裏側へだって参りますわよ」
――場所を運転手付きのリムジン(協力者であるロシアのベンチャー企業社長からの借り物)に移し、貴虎はさっそく依頼のための現状に入ろうとしたのだが。
「いっけない! 実は大事な預かり物をしてましたの。はい、どうぞ。アナタのCh?re s?urから」
いかにもオトシゴロの女子らしいラッピングの袋を受け取り、中身を一つ摘まんで出す。貴虎は最初、それを揚げ餃子だと思った。
「フォーチュン・クッキー。またの名をおみくじクッキーとも言うわね。生地が空洞になってて、中に占いを書いた紙が入ってるの。これはアナタのための“特別”」
貴虎は生地を、ぱきり、と割った。確かに中には六角形に折り畳んだ紙片が入っていた。
紙片には、たった一文。
“早く帰って来てね”
――されど、一文。
紙片を畳み直して、背広の胸ポケットに大事にしまった。
暇を見て、夏服と一緒に、ロケット付きのペンダントかブレスレットを買おう。
〔センセーは最強だ?〕
室井咲は中学校に進学してもダンススクールに通っている。
同じ中学、同じクラスになったナッツ、モン太、チューやんも。残念ながらヘキサとトモは進学校に入学した関係もあって辞めてしまったが。
「「「こんにちはー」」」
「へい、らっしゃーい」
いつもどおりの講師の出迎え口上。
いつもどおりでなかったのは、講師が大ケガをしていたことだった。
「センセー、どーしたの!? ウデ吊ってるし、顔っ! 包帯でぷちツタンカーメンっ」
「ありえないっしょ! ヒトの三倍はケガに敏感なセンセーだよ!?」
「なにと戦っ
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