小説版鎧武における掌編
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たんすかー? ヒグマ?」
「……あんたたちがアタシをどう見てんのかよーく分かったよ」
だってセンセー、ブラーボもとい凰蓮を蹴り倒したことあるじゃん。
咲たちは声を出さずして心を一致させた。
「ほら。市内で自爆テロが流行ってるっしょ。目の前で相手がいい感じにラリったもんだからさ、こりゃもう蹴るしかないじゃん? そんで手からロックシード蹴飛ばしたのはいいけど、間に合わなくて。ま、足は無事だったからオールオッケーさね」
確かにダンサーにとって足は命だが、それでいいのか。そもそもダンサーとは全身が資本だ。腕も使うし、踊っている最中の表情さえもがダンスの一部なのだ。
そして何より、咲たちにとってこの女性は、咲たちみんなの大好きな「センセー」だ。
(よくもあたしたちのセンセーを)
咲の額にデコピンが炸裂した。
「ぁだ!?」
「物騒なこと考えるんじゃないよ。あんたはやっと中学生なんだかんね。法的責任能力もないガキが粋がってんじゃない」
講師は、小学6年生から1センチしか背が伸びていない咲の頭に、ぽふんと手を置いた。
言葉と裏腹の優しい手つきだった。
〔一かけ二かけて三かけて〕
自爆テロで世間を騒がせる、カルト教団の再来“黒の菩提樹”へ、信者のフリをして潜入し内情をスパイする。
恒例となったガレージでのビートライダーズ全体会議。光実がその案をためらいがちに口にした時、チャッキーは一番に潜入捜査官に名乗りを挙げた。これについてはペコに凄まじい勢いで反対されたのだが、顔が割れておらずヘルヘイム騒動で根性逞しくなった自分こそ適任だと言いくるめた。
かくして。“黒の菩提樹”の教会に通って1週間。
――かっしゃかっしゃ。かっしゃかっしゃ。
「〜♪ 〜♪」
無人のガレージで。チャッキーは二種類のロックシードを交互に投げて弄んでいた。
くすんだ葡萄色と鮮紅色のお手玉。
鮮紅色は、信者のフリをして“黒の菩提樹”から首尾よく入手したザクロのロックシード。これはあとでガレージに来た光実に保管を頼むことになっている。
くすんだ葡萄色は――ヨモツヘグリロックシード。チャッキーとペコが、あわや戦極凌馬に殺されかけた舞を助け出した時に、イレギュラーインベスを召喚したロックシードだ。
(なぁんか、これ持ってたら大丈夫な気がしたんだよねえ。だからあたしがやるって言えたんだし)
教会でザクロのロックシードを受け取った瞬間の謎の浮遊感と歓喜は、ポケットに忍ばせていたこのヨモツヘグリに触れるなり、速やかにチャッキーの胸から去った。
それがヨモツヘグリ固有の効果か、チャッキーのトラウマに似た思い出がなさしめた業かまでは、チャッ
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