暁 〜小説投稿サイト〜
外伝・少年少女の戦極時代
デューク&ナックル編
ライダーズ・ロジック A
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っても、用立てたのが戒斗なら、これは戒斗から他ならぬザックへのメッセージだ。自分は手出ししない、お前が守れ、と戒斗は無言で伝えてきたのだ。

「戒斗はネオ・バロンのこと知ってんのか?」
「知ってるんだけど……このベルトとロックシードを準備し始めた時に、急にいなくなっちゃったんだ。てっきり先に帰国したのかと思ったら、いないし。あの人もこんな大事な時に、どこほっつき歩いてるんだか。こうも見かけないと、うっかり落とし穴からヘルヘイムに落ちたんじゃないかって疑いたくなるよ」

 駆紋戒斗ならありえそうだから、困る。戒斗の元右腕としての偽らざる心証である。

「けど、お前ら、どうしてここまで」

 確かに帰国の報はビートライダーズの全体SNSに書き込んだが、助けてくれとは言わなかった。
 それがこうも、皆が呼吸を合わせて、ザック一人を助けてくれた。

「わたし個人としては、シュラって人を放っておけないからでしょうか」

 ヘキサにはそぐわない理由だ、という感想は、次の言葉で翻ることとなる。

「だって彼は踊ってません。ダンスしないチームは“ビートライダーズ”とは呼びません。チームバロンは、ビートライダーズでしょう? なら踊らないあの人たちはチームバロンじゃありません」

 ――は、とザックは笑いを零していた。

 何と清々しい全否定か。

 今やチームバロンさえも“ビートライダーズ”という大きな枠組みの中の一単位だ。だから城乃内と凰蓮が動き、光実が動いた。

 同じビートライダーズだから。
 ただそれだけの、キラキラした宝石のような理由。

「ありがとな、お前ら」

 ザックはアタッシュケースごと、アーマードライダーへの変身に必要なアイテムを全て受け取り、走り出した。
 足の古傷も今は関係ない。ただ、走るだけ。“バロン”の名を貶めたシュラから、その名を正しく取り返すために。
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