第八幕その六
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「そうしてね」
「信長さんその事件で死んでるし」
「じゃあそれでなのね」
「高野山は焼き討ちされずに済んだのね」
「そうだったんだ」
「そうだったんだ、けれどね」
それでもというのでした。
「信長さんのお墓があるよね」
「この山を焼き討ちしようとした人のお墓が?」
「考えてみれば不思議よね」
「どうしてあるのかな」
「訳がわからないよ」
「このお墓は長い間忘れられていたけれど」
高野山においてです。
「こうしてあるからね」
「しかもだよ」
王子はお墓の一番高い方を見て先生に言いました。
「信長さんのお墓凄い場所にあるよね」
「空海さんのお墓のすぐそこだね」
「本当にすぐそこじゃない」
まさにというのです。
「ここはね」
「そうだよね」
先生も王子に応えます。
「空海さんのお墓のね」
「この高野山を開いた」
「あるだけで不思議でね」
「しかも空海さんのもうね」
それこそです」
「すぐ傍にあるなんて」
「どういうことなのかな」
「こんな不思議なことないよ」
王子もこう言いました。
「このことがね」
「僕もだよ、どう考えても有り得ないし」
高野山を攻めようとした人のお墓が高野山の中にしかも高野山を開いた人のお墓のすぐ傍にあることがです。
「今このことについて考えているけれど」
「どうしてなのかな」
「わからなくてね」
先生も深く思案しているお顔になっています。
「今調べているんだ」
「そうなんだね」
「歴史、宗教の両方からね」
その二つの学問からです。
「考えて調べているけれど」
「まだわからないんだ」
「どうしてもね」
「あの、しかもね」
ここでさらに言った王子でした。
「信長さんって神も仏も信じていなかったよね」
「いや、そのことはね」
「あれっ、そうじゃなかったんだ」
「熱田神宮にはちゃんと参拝していたりするんだ」
「名古屋の方の神社だね」
「あそこにね。桶狭間の戦の前に参拝していたりするし」
このこともお話した先生でした。
「織田家は元々神主の家だったしね」
「そうだったんだ」
「確かなお坊さんとはお話して敬ってもいるし」
「別に神仏を嫌ってはいなかったんだ」
「そうみたいだよ、ちゃんと敵の武将もそうした供養をしているし」
仏教のそれで、です。
「僧兵や一向一揆とは戦っておかしなお坊さんは成敗しているけれど」
「普通の信者やお坊さんはなんだ」
「一切手を出していないよ」
「そうだったんだね」
「自分が神様になろうとしていたとも言われているけれど」
「それ日本じゃ普通ですよね」
トミーも言ってきました。
「神道では」
「豊臣秀吉さんも徳川家康さんもなっているね」
「はい、神社に祀られて」
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