春はパスタの旬の季節です。その5
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
事を言ってた時期もあったが、今はそんな気は更々無い。
「大体な?村雨。俺が異動願い出したとして、マトモにその異動願いが受理されると思うか?」
俺は以前からここからの異動を打診されていた。それも何度も。やれ横須賀で作戦本部長をやれだの、江田島で校長をやってくれだの、永田町でバッジをつけませんか?だの。そのどれもが内地でぬくぬくとやりませんか?という誘い。元々堅苦しいのが嫌いで、その悉くを突っぱねて来てるんだ。そのテコでも動かん気構えだった俺が、突然の異動願い。受理はされても望んだ場所に行ける可能性は限り無くゼロに近い。それに、異動を拒む理由はまだある。
「それにな、今更お前ら皆投げ出して異動なんぞ出来るか」
前々から打診されていた異動話を断っていた原因の主な理由がこれだ。『異動の際には艦娘は現状維持のまま』……戸籍上本当の妻となっている金剛は同道を認められたが、他のケッコン艦や手塩にかけて鍛えた艦娘はここに残して異動しろ、という命令ばかりだった。始めた当初は嫌々だったものの、四半世紀も提督業やってればそれなりに仕事に誇りも出てくるし、愛着も湧く。それに、大湊で退官というのは暫く前に諦めた……というより考えるのを止めた。ブルネイに骨を埋めてもいいか、と今は思っている。
「実はな、ここの敷地を買い上げて保養所ないしリゾートホテルでとやろうかと思ってんだよ、俺ぁ」
勿論、従業員はウチの連中さ。前線で戦っていたいって奴は他の鎮守府へ異動させる位の地位はあるし、ここの敷地と建物をまとめて買い上げる位の資金は溜め込んである。美女に囲まれて料理をしながら楽しく暮らす……提督としての業務が保養所の管理等にすり替わるだけで今の生活とあんまり変わらねぇ日常になるだろうが、中々悪くねぇ余生の過ごし方だろう?
「……そっか、提督の側でホテルの従業員も悪くないかも」
「だろ?」
「その時までに指輪、貰うからちゃんと構ってね?」
「そこはウチのルールだからな、俺も守るさ」
その場合、ケッコンした奴を正式に嫁として迎えたら嫁の人数でギネス記録になったりするんだろうか?そんな下らない事を考えつつ、余ったパスタを肴にワインを煽った。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ