春はパスタの旬の季節です。その5
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くなってしまうのでそれを防ぐ為だ。アサリを取り出した後のフライパンにパセリを加えておく。
お湯が沸いたらパスタを茹でていく。パスタの1/10の塩を加え、袋の表示より1分短く茹でるのは一緒だな。
茹で上がりの1分前に菜の花の茎を加え、その30秒後に葉の部分を加えて一緒に茹でる。茹で上がったら一緒にザルに空けて水気を切っておく。
取っておいたフライパンのソースにバターを加え、弱火で温めながらかき混ぜて溶かす。バターが溶けたら菜の花とパスタを加えてソースとよく絡める。
パスタを皿に盛り、取り分けておいたアサリを盛り付ける。仕上げに刻んだ大葉を散らせば完成だ。
「ホラよ、『菜の花入りボンゴレ』だ」
「おぉ〜!美味しそう♪」
アサリの出汁がたっぷりと出たソースに、パスタをしっかりと絡めて巻き取り、菜の花を一緒に頬張る。そこにアサリの身を歯で剥がしながら口に含めば、アサリのコリコリとした貝独特な食感と、菜の花の風味、アサリの旨味が渾然一体となって襲ってくる。
「んん〜っ、毎度の事ながらいい仕事してますねぇ〜♪」
「そりゃどうも。美味しく食べてもらえりゃ、料理人冥利に尽きるってモンだぜ」
暫くフンフンと機嫌よく鼻唄混じりにパスタを食べ進めていた村雨だったが、はたと手を止めてこちらを見つめてきた。
「そういえば提督」
「なんだ?」
「今年も……そろそろ人事異動の時期だよね?」
「……あぁ、その話か」
人事異動。それも今年は全ての泊地の提督を対象に、希望する泊地への異動が叶う……かもしれない、と専らの噂だった。
「提督も……どこか異動しちゃうの?」
村雨のそう尋ねる眼差しは真剣そのもの。気付けば、店内は水を打ったようにシン……と静まり返っていた。どうやら、村雨と俺の会話を聞き付けて聞き耳を立てていたらしい。
「そうだなーー……」
「そうだなーー……村雨はそんな事言って、俺に出ていって欲しいのか?」
俺はそう言って、ニヤリと悪戯っぽく笑ってみせる。
「ち、違う違う!出ていって欲しい訳じゃないよ!だって村雨、提督の事が……」
「知ってるよ、んな事ぁ」
村雨が俺に好意を持っているのは知っていた。というか、あそこまであからさまにアピールされて気付かないとかバカじゃなかろうか。俺はそんなに鈍感になった覚えはない。
「大体、何でいきなり俺が異動するかも……なんて話になったんだ?」
「だって提督、前に言ってたでしょ?『退官するなら地元が近い大湊警備府がいいなぁ』って」
「………………あぁ、そんな事言ってた時期もあったっけか?」
村雨に指摘される今の今まで忘れてたぜ。確かにそんな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ