Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
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だった。
純白だった髪や目が色を含んじゃうくらい脆弱になっちゃったけどね。色彩を残す為の手段を考える時間は、戦いなんかじゃ比べ物にならないほど楽しくて充実してた。
知ってるのに知らない「何か」の答えもきっちり得られたし。喧嘩っ早い白・黒が網目を潜り抜けたおかげで色彩にも幅が出る君達の世界はきっと、創造神が思うよりずっと綺麗に輝いていくんだろう。創造神が消失してもあの子は変わらずに存在し続けるから、今後はあの子が創造神の分まで見守ってくれる。何処にも憂いは無い。そう思ってた。
でも、とんだ思い違いだった。
あの子ね。消える寸前の創造神に尋いたんだ。
『俺はこれから、どうすれば良い?』
……言ったよね。あの子は創造神そのものだって。
あの子の口癖、「お前がそう望むなら」なの。
創造神が何を言っても、何をしようとしても、何をさせようとしても。核を埋めた直後、星の生物に倣って雌雄を分けた時でさえ。あの子は必ずそう答えてくれた。
あれ、創造神が消滅する間際までずっと、創造神がしたいようにすれば良い。その手助けくらいはしてやるって意味だと思ってたんだけど……本当は違ってた。
『あの子には自我が無い』
あの子は、「自分自身」に定義を求めた創造神が無自覚の内に自分から分離させた「もう一人の創造神」。創造神に外形と性質を視認させる為だけに生まれ、創造神が求めたから創造神の望みを受動的に叶えるようになった「完全なる複製」。生まれた時から創造神という基準が在ったあの子自身には疑問を抱く余地が無く、その所為で意思と呼べるものが「初めから」備わってなかったんだよ。
だから、創造神と同じものを見て・聴いて・体験していても、同じようには感じてない。知識として蓄えているかどうかすら怪しい。そもそも、能動的に何かを考えたり実行したりができないんだ。ある意味、指標を示せばそれなりに動く白いものよりも空っぽだった。
ゾッとしたよ。
あの子の本質は、創造神を映す為に生まれた『鏡』だ。
じゃあ、映すものが居なくなったら『鏡』はどうなる? 創造神と同じ力量を有したあの子を単体で遺してしまったら、あの子は其処から何処へ向かう?
……そうだね。
あの子は自分がどうするべきかを知る為に、核を手放す前の創造神と同じ力量を用いて創造神の痕跡を追う。消える寸前に張った結界なんて、白・黒はともかくあの子にとっては障害物でもなんでもないからね。あの子はあの子のまま、創造神の影を求め続ける。
そして白の陣は、黒の陣を統轄していたあの子が君達の星に留まる事を決して許さない。
君とあの子が出逢うまでに起きたであろう惨劇の数々が目に浮かぶようだよ。
創造神は失敗した。
違う。失敗し続けていた。
あの子をちゃんと
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