Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
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を抱いた「何か」の答え。
即ち、全位に方向性を持つ「万象」……
「色彩」
そう! これが、君達が生まれ育つ「星」の始まりだよ。
それらを見て・聴いて・触れて・感じ取った瞬間の感動が、君にも解るかい?
素晴らしい! なんて美しい連なりだ! 一つ一つが確固たる方向性を有しながら、影響し合うことも溶け合って新しい方向へ向かうこともできるなんて! まさしく奇跡! 白だけでも黒だけでも、両方揃っていても足りなかった。当然だ! 創造神は、この鮮やかな法則で彩られた世界をこそ望んでいたんだ! って、胸の高鳴りを抑え切れなかったよ。涙なんかもボロボロボロボロ溢しちゃってね。
……でも、喜びは束の間で引っ込んじゃった。
うん。君の言う通り。
君達の世界は「有限」だ。
私達が引き延ばした現象の当事者である君達には分かり難いだろうけど、君達の世界の法則は「一瞬開いて閉じる」が全て。君達の世界に生じた色彩は、白・黒がばら撒いてゴールデンドラゴンが砕いた力の欠片と新しい物質が尽きた瞬間に幕を閉じるだろう。そして、空間全体が完全に冷え切ったら。つまり、私達の力が変質を終えたら。
君達の世界は消滅する。
創造神が白と黒の世界で体感したままに。避けようもなく、絶対に。確実に。
哀しかったよ。
生まれた瞬間……ううん。生まれる前から求めていた色彩が、有限の内でしか観測できないなんて。こんなにも綺麗な世界が、実際に存在する世界が、幻みたいに呆気なく消えてしまうなんて。
すごく…………嫌だったの。
だから
創造神の核を、君達の星に埋めた。
せめて、色彩がより長く続くように。ゴールデンドラゴンが砕いた欠片を一定の大きさに戻して空間全体へ行き渡らせ、可能な限り変質が持続するように。ちゃんと、元の形に戻ろうとする働きを助長して集束が加速しないように、強制排出と撹拌機能を付与してもらってね。
それから、ごちゃ混ぜにさせ過ぎないよう物質の誘導係を作って核の近くに配置した後、あの子と一緒に白と黒の世界へ戻り、空間と湖との間に網状の結界を張ったんだ。
その上で「網目は個として存在できるギリギリの大きさで、一度でも通り抜ければ完全な単一性を誇る白や黒には戻れない。ゴールデンドラゴン達も置いて来た。それでも良いならどうぞ、いってらっしゃい?」って黒いものに言ってやったら、躊躇いもせずに全員で突っ込んで行くんだもの。声を上げて笑っちゃった。どんだけ退屈してたんだよ! ってさ。
白いものはさすがに二の足を踏んでたけど、黒いものが空間内で悪さするんじゃないかと心配になったみたいだね。結局、創造神とあの子だけを残して君達の星へ跳んで行った。
満足だったよ。とても満足
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