暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
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空間が作れたし、それ自体は杞憂に終わったんだけど。
 とりあえず出来上がった空間内でお互い同時に最大限の力量を放った後、私達は白と黒の世界へ戻って外側から経過を見守ったよ。
 君達の感覚ではどのくらい見てたかなぁ? 朝と夜が千回……いや、万……、億? …………うーん……ごめん。ちょっと数え切れないかも。悠久とか久遠とか、その程度だと思ってくれれば良いかな。
 とにかく、長ーい間じぃーっと見てたらね。
 なんと! 最初に放った力が直視できないほどの激しい光で空間内を満たして(しばら)く経った後、飛散した光の欠片が種々様々な性質を持つ可視物質へと変化したばかりか、物質同士で衝突を繰り返しながら大小様々な塊を少しずつ無数に形成し、それぞれの近くで生じた特に大きな塊の周辺をぐるぐると回り出したんだ!
 途中までは(おおむ)ね予想通りだったけど、まさか可視化された物質が円を描くように動き回るなんて! 当時は、いったい何が起きたのかと思ったよ!
 きっと最初に衝突させた時、双方の力の中心点が微妙にズレてたんだろうね。
 向かい合って(はし)る力の中心点がズレると、「先へ進もうとする働き」の他にもう一つ、「先へ進もうとする働きに引き摺られて逆走する働き」が生じるんだ。この二つの働きが絡まり合うと出来る物、解る?
 渦、だよ。
 実質限りが無い白と黒の世界では、どんな形で飛散してもいずれ空気中で失速・霧散・不可視化・吸収されるだけで、周囲に影響は残せない。でも、新しい空間は透明な密閉容器みたいなものだから。元に戻ろうとしても戻れない物質は、どんなに細かくなっても完全に消滅するまでは存在し、他の物質に影響を与え続ける。
 最初の衝突とほぼ同時に発生した「先へ向かう働き」と「逆走する働き」が飛散する欠片の動きを複雑化させ、続けて起きる新しい物質同士の衝突でもズレを生む。すると、小さな単位でも渦が出来上がるだろう?
 渦はやがて一点に集束するものだけど、衝突した際の反発力と二つの働きが均衡を保っている間は、お互いに一定距離を保ってくるくる回るだけだからね。多分、私の推測は間違ってないと思う。

 で。
 一応、湖を透過する光が白と黒の世界に虚像を作ってない事を確認した私達は、空間内部の温度が下がるのを辛抱強く待ち続けて、もう入っても大丈夫かな? って頃にやっと、結界を纏って塊の一つへ降り立った。
 塊から見上げた宙は真っ黒で、なのにとっても明るかったよ! 創造神とあの子が衝突させた力も、新しい物質同士の無数の小さな衝突も、計算していた以上に(まぶ)しく光り続けていて。もっと見たい・感じたいと望んでいたあの現象に近い景観を照らし出してくれてたんだ。
 まぁ、近いと言っても決定的な何かが足りてないなって感じがしたし、もうちょっと傍観してたほうが
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