暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
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、って言えば解る?
 ……動植物を模して作った玩具? 玩具って、どういう……
 っぉぉおおお! そう、それ! 生まれた順は逆だけど、見た目はまさにそれ、そのものだよ!
 等身大の「環境模型(ジオラマ)」!
 創造神が作った生物達には、君達のような摂取や排泄といった生体活動の循環が無かったからね。樹木に実や葉が繁ってても落ちたり枯れたりはしないし、水中にどれだけ多くの生物が居ても、水自体はそれ以上濁らないし透明度も上がらない。彼らは、創造神が考えて配置した理想の環境を崩すこと無く、創造神が示した通りに動いていたの。
 そう。総て「創造神が意図した通り」だ。
 聡明な君には解るだろう?

 創造神が組み上げた可視世界は、創造神の望み通りにしかならなかったのさ。

 滑稽だよねぇ。
 手を加える度に賑わっていくのは嬉しかった。それ以上に楽しかった。自分ではそう「思い込んでいた」のに、一部始終を創造神の隣で見てたあの子ってば、遣り遂げた感を満喫していた創造神に向かって言ったんだ。
 『つまらなそうだな』って。
 そりゃそうだよね。
 だって、創造神が組み上げた生物達は、創造神が知らない事は全く知らなかったし、判らない事が有っても各自で調べようとか考えようとか全然しないんだもん。
 何をするにも創造神を基準に置き、創造神が示した通りにしか動かないし動けない。故に、何事であっても決して創造神の想定外にはならないし、なろうともしないし、飛び越えていくことを良しとせず、足並みの乱れは決して許さない。
 結果、創造神と同じ思考が永遠に続くだけの世界だよ? それってさ。

 自分自身(わたし)と何が違うの?

 創造神は結局、外形が違うだけの自分を量産しただけだった。
 自分とは違う意識を求めていた創造神は、自分自身でしかない世界を「つまらない」と認識したよ。その上で、もっと違う意思を知りたいと願った。
 だからあの子は、世界の半分を「反転」したの。
 白を黒へ。透明を不透明へ。宙を翔るものは、地を駆けるものへ。創造神への崇敬を、彼ら自身の尊重へ。創造神とは真逆になるように。創造神が楽しいと思えるように。
 結果は……抜群だったよ! 少し前までの憂鬱が全部、嘘みたいに吹き飛んださ!
 反転させた黒いものと、元の白いものが、お互いに自己を主張し合ってね! 己の価値観こそが正しい! お前は間違ってる! って、喧嘩し始めてね!? 元々が同じ生物でも、在り方が違うだけでこんなにも目線が変わるのかって、すっごく吃驚した!
 自我の重点を何処に置くかで個の意識と集団意識の方向性が変わってくるとか、自身の思考を否定されると相手の存在を否定して過剰な自己擁護に回ってしまう性質とか、観察してるだけでも十分面白かったんだけど……(しばら)く傍観
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