Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
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見てなかった。
教わる機会も学び取る術も与えられなかったあの子は、いつか自分自身を取り巻く総てに疑問を抱くだろう。けど、その疑問はきっと解消されない。創造神に対するあの子のような、『鏡』に映る存在が現れない限り。あの子自身を正面から見据えてくれる存在が現れない限り。
疑問はあの子の中で蟠り続け、理解できない物事はあの子を深く傷付ける。それでもあの子はたった一人で、傷付いた自覚が無いまま、目に見える総てに理解を求め続けるんだ。
なんて酷い牢獄。
なんて残酷な仕打ちをしてしまったのか。
創造神の我儘があの子に与えたのは、永遠の孤独だ。
あの子だけじゃない。君達の世界にも、白・黒の生物達にも、ゴールデンドラゴン達にも。創造神とは違う意思を求めておきながら、自分自身の欲求を投影するばかりで、本当の意味では最後まで誰とも向き合ってなかったんだよ。創造神は。
それに気付くのがあまりにも遅すぎて、伝えるべき言は間に合わなかった。
届けなければいけなかったのに。理解させなければいけなかったのに。
君のその手を伸ばしなさい、差し出しなさいと……「目の前の総てを認めなさい」と、そんな、たった一言さえ、あげられなかった。
私は創造神の「欠片」。
後悔と惜別と、最後の我儘が遺した欠片。
あの子もいつかは大切なことに気付いてくれると信じて眠るしかなかった、非力で無力で他力本願な大莫迦野郎なのさ。
なんだかすっごい大仰に崇めてもらってたみたいなのに、呆れさせちゃったかな?
……ふふ。ありがとう。
じゃ、本題だ。
あの子には「ごめんねぇ。でも、それは自分で見付けて欲しいな。これから始まる世界の何処かに有ると思うんだ。そうだ。宝探しをしてみてよ。君が君を見付ける瞬間を楽しみにしているよ。頑張ってね、私の鏡」って伝えてほしい。
聞き入れてくれない可能性? それは無いんじゃないかな。
どんな経緯があったにせよ、君は空っぽだった筈のあの子が自発的に形を保たせている唯一の存在だ。そんな君が向き合う姿勢を見せてくれれば、あの子はきっと応えてくれるよ。時間は掛かるかも知れないけどね。なんせ、ほら。あの子はもう一人の大莫迦野郎だから。
どうしても駄目って時は、私も微力ながら援護するつもりだし。
手を煩わせて申し訳ないけど、よろしくお願いします。
それから、後世を生きる総ての者へ。
限り有る世界に生まれた君達は、長短の差はあれど、いずれ必ず終わりの刻を迎える。終わりが定められた世界で自我を持つ事自体、理不尽で無意味に思えるかも知れない。或いは、消えたくなんかないと限りを恐れているかも知れない。創造神も、最後はそうだったからね。何も伝えられないまま消
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