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魔女の付き人(仮)
刹那の邂逅
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のかしら?」

 いつでもARMを発動することができるようにディアナは身構える。

「いえ、まさか。私はそんなことをしに来たのではありません。」

 ウィスがこの場に赴いたのはただの確認だ。
 そう、彼女、ディアナの在り方を知るための。

「では、何故此処に?」

 そしてウィスは確信する。
 ディアナを狂わせた元凶の存在を。

「先程言いましたよね?私はただ貴方に来ただけだと。」
 
 彼女は元々優しい心の持ち主なのだろう。
 だが邪悪なる元凶が全てを狂わせた。

「別に私は貴方の行いを否定するつもりはありません。」

 よくよく感知すれば彼女は邪悪なる存在に強く影響を受けてしまっている。 
 彼女の深層心理に根付く思いが意図的に増幅され、本人の気付かない内に暗示に似た何かを掛けられてしまっているのだ。

「…。」

「その信念も、願いも、あり方も…。」

 口を動かしながらウィスは感知範囲をより鮮明に、深く広げていく。
 そして遂に見つけた。

 この世界、否、ギンタの世界の悪意と憎悪によって生まれた悪の塊を。
 今はある一人の人間の内に入り、その悪意を撒き散らしている。

「…。」

「例え誰もが貴方を否定しようが、私は貴方を肯定します。」

 世界を救済したいという思いが間違っていることなどありえない。
 彼らの思いも間違ってなどいなかったのだから。
 故にウィスはディアナの在り方を肯定する。

 そして、彼女を正気に戻し、正しい道に引き戻すのはドロシーの役目だ。
 自分はあくまで彼女の手助けをし、きっかけを与えるだけ。

「……さて、私が確認したいことは終わりました。これで私は失礼させて頂きます。」

 ウィスは踵を返し、この場から立ち去ろうとする。
 正に台風の嵐。
 何の告知も無くこの場を訪れ、かき乱し、帰ろうとしている。





「…ねえ、ウィス。貴方、私の下へ来ない?」

 そんな中、ディアナは突如ウィスを勧誘する。
 
 ディアナはウィスに此方を害するつもりがないことを理解した。
 その在り方、強さ、悪とされる自分さえも受け入れる許容性。

 その全てがディアナを刺激した。
 ディアナは元来、欲深い人間であり、己が欲しいと思った物は何としても手に入れようとする魔性の女性だ。

 そう、世界から忌み嫌われ、憎まれている自分を受け入れてくれたウィスをディアナは強く欲したのである。
 故にディアナはウィスを手に入れ、己の物にしようとウィスを勧誘する。
 
だが……

「お断りします。」

 ウィスはそんな彼女の提案を丁重に断る。

「…それは、何故?」

「強いて言えば……」





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